2421 前に進むためのXの問い編 805
「あいつ!」
とかおもったけど、ある意味でよかったかもしれない。だってもしもレシアがヒイラギを確保して懐柔してしまったら? そうなると一気にこっちの形勢が不利になるかもしれない。今は僕のことも、そしてレシアの事もヒイラギは拒否してる。
だからこそ、世界樹はその心を受け取って、僕たち側も月側もまとめて影響が出てるんだ。けど……もしもこの影響がどっちかだけになってしまったら? そうなったら一気にその陣営は不利になるのは目に見えてる。
だってそうだろう。スキルまで使えなくなるなんて……ね。
「ヒイラギ!!」
僕は投げられた勢いのままにヒイラギに手を伸ばす。するとこう言われた。
「いや! 来ないで!!」
いつもはゆったりとした喋り方をしてるヒイラギ。間延びしたような……さ。けどそれさえも忘れるような、そんな口調。それだけ僕の事、もう……拒絶させるのはなかなかに心に来る。
でも仕方ない。僕もレシアも、ヒイラギの事ないがしろにしてた。だから反省してる。それを伝えないと。
「聞いてくれヒイラギ!」
「ふん!」
そんな風にいってヒイラギを包んでる世界樹の枝葉がヒイラギが望んだのか、彼女を隠す。そうなると、僕には声を掛けるしかできない。だってそうだろう。世界樹に攻撃をするなんてできないじゃん。
なんとか僕は丸くヒイラギを包んでる枝葉へとたどり着いた。その枝葉に取り付いて力を込めても、世界樹の枝葉はびくともしない。
「ヒイラギごめん!」
僕はこの枝葉を開くことは諦めた。切れないのなら、これ以上は無理だ。僕はそこまで筋力を装備でブーストとかしてないからね。なにせ僕の売りはスピードだから。それにフラングランの切れ味なら、筋力よりもスピードを伸ばすほうが良かったんだ。
だから後はもう言葉しかなかった。きっと言葉届いてるはずだ。
「僕が悪かった……寂しかったよな。けど、こんなところにひきこもっても寂しさは増すだけだ! 今度はちゃんと向き合うから。友達になるから」
「そんな~慰めなんて~いーらない」
そんな声が聞こえてくる。かなりご立腹みたいだな。でも仕方ない。一度は僕を信じてくれたのに、僕はそんなヒイラギに向き合わなかった。ないがしろにしてしまった。
つまりは信頼を裏切ったんだ。信頼は積み上げるのは大変だけど、崩壊するのは一瞬という。つまりはそういうことだろう。けど、僕たちはまだ出会ったばかりだ。まだ……そう、まだ挽回はできるはずだ。
でもこのままじゃだめだ。僕は世界樹のコードをみる。