2418 前に進むためのXの問い編 802
レシアのことも拒絶したヒイラギは僕とレシアから離れていく。彼女が自分から……というか、その体を包んでる世界樹。それが僕たちから離すように……いや離すというか……自身の元に連れて行くかのように、ヒイラギは枝葉に包まれて世界樹の幹の方へとむかっていく。
「この、木の分際で」
そんなことをいって、レシアは世界樹の枝葉を燃やすために炎を出した。僕はその間に地面が近づいてきてた。その時気付いた。
「風が……」
応えてくれる! もしかしたらヒイラギが離れたからか? それか世界樹? いや世界樹はこのリア・レーゼの地にドドーンと鎮座してる。そしてその雄大な姿はかわらない。
そもそもがあの大きさの世界樹とはこの土地にいる限り、あんまり変わらないだろう。それにここリア・レーゼは世界樹の影響を強く受けてるはずの土地だ。ならばやはりヒイラギと離れたことが大きいのか? わかんないが……とりあえず再び風をつかめる様になってるのなら、僕だってこのまま落ちるわけにはいかない。
僕は風をあつめて態勢を整える。そして空中蹴って、ヒイラギを追う。まずは……
「やめろ! ヒイラギがどうなってもいいのか!!」
「あら、スオウ。そのまま落ちてればよかったのに」
僕は無防備だったレシアの背中にフラングランを向けた。けどそれはレシアの尻尾に阻まれる。こっちを見ずもせずに防ぐレシアにイラッとする。
「それにヒイラギお姉ちゃんは心配ないっぽいわよ」
「なに?」
レシアは轟々と激しい炎をその手の先から出してヒイラギをさらおうとしてる世界樹の枝葉に向かって攻撃してる。アホみたいな火力を向けてるのにそのセリフはないだろう。
すると次第に世界樹の赤い光が強くなっていく。それと同時か……レシアの炎が弱くなっていく。いやそれだけじゃない。
「なんだ?」
「スキルが?」
「みろ! 月人も様子がおかしいぞ!!」
地上にいるプレイヤーや月人たちにもその影響は出てた。僕も再び風が一気に霧散していく。再び落ちる事になる。でもどうやらレシアの奴はスキルとかなんとかで飛んでるわけじゃない、その体の特性……翼があるから飛べるわけで、あいつはバサバサとその翼を動かして飛んでる。
ずるい! 僕はなんとかフラングランに残ってた風を使ってちょっとだけ進んでレシアの尻尾に抱きついた。
「ちょ!? 変態!!」
なんかそんな風にレシアが顔真っ赤にして言ってきた。