2417 前に進むためのXの問い編 801
「おい!」
なにやってんだ!! と思った。確かにもうヒイラギは僕のことも信じられなくなったのかもしれない。それはごめんって思う。それは僕の責任だ。ヒイラギはまだ小さい。小さくなってしまってる。
前のときはそれこそなんでも受け止める感じのお姉さんだったが、流石に今のヒイラギにはそれは無理か。てかそれは僕の都合の良い考えだ。だって今のヒイラギがどれだけ溜め込んできたのかとか、これまでの人生を何も僕はしらないんだから。
僕は落ちていくヒイラギを追いかける。けどその時だ。僕のスピードならここからでも……とおもったんだけど、それを阻む物がでてきた。それはレシアとかじゃない。それは世界樹だ。
世界樹の枝が僕とヒイラギの間に割って入ってきた。そのせいでヒイラギが見えなくなった。
「なっ!?」
しかも……だ。
「くっ……え?」
なんか力が抜ける感覚が……掴んでた風も霧散していく。僕の風だぞ? それに風は一番得意だからこそ、自然にもうつかめるようになってる。それなのに……強制的に風が……
風を維持できなくなると、空中を駆けるなんてできない。だから僕も落ちる事になる。
「くっそ!」
僕はなんとか自身の手に手のひらに風を集めて、それで位置を微調整する。それによってヒイラギを隠した世界樹に降りようとした。だってそれしかない。この出っ張ってきた世界樹を有効活用してどうにかこうにか……と考えるのは普通だろう。
けど……
「んな!?」
なんと、僕が世界樹の枝に着地しようとした瞬間。世界樹の枝が僕を避けるようにグニャッと曲がりやがった。そんなのありかよ!! そのせいで僕は世界樹の枝に乗ることができなかった。一気にその枝よりも下に落ちていくとき……みえた。ヒイラギのやつが世界樹の枝に包まれてるのを。枝というか、ヒイラギの場合はまるでその葉をクッションのように大量にあつめてて、それに包まれてた。
そしてそこで丸まって目を閉じてる。
「ヒイラギ!」
僕はそんなふうに声をかける。けど……彼女はわずかに目を開けてこっちを見たけど、プイッと顔をそらした。そこに……
「ヒイラギお姉ちゃん」
そう言ってレシアが近づく。くっ、あいつ僕が拒絶されたからって今のうちにヒイラギに取り入るつもりか。あざとくもう一回「お姉ちゃん」とか呼んでるし……でもそんなレシアの事も……
「やっ!」
――とヒイラギは拒絶した。ザマアである。