2410 前に進む為のxの問い編 794
「焦ってるねスオウ。信じてるとか言ってたけど、その行動は信じてないんじゃないかな?」
馬鹿にするようにそんなことをいってくるレシア。こいつ、こんな風に煽ってくる奴だったんだな。
(わかってる。あいつの狙いは僕を焦らせて精度を欠かせることだって)
そんな事はわかってるんだ。けど……実際心の焦燥……それが消えることはない。これじゃあ、本当にレシアのいう通りだな。会長は……日鞠が負けるところなんてのは考えられない。
そうあいつは絶対に負けない。けどあいつがこれまで負けてこなかったか? といえばそうじゃない。僕はあいつを誰よりも理解してる。だからこそ、ある可能性がよぎる。
「本当はわかってるんだよね? 確かに彼女、会長? だっけ? は聞く限り凄い人だよね。どうやら、まともにやって勝てるような……そんな存在じゃない。
なんだっけ? 『神様に愛された存在?』だっけ?」
どこまで調べて……いや、向こうにはセツリがいる。きっとセツリから色々と聞いたんだろう。まあLROではリアルの話はしちゃいけないっていう暗黙のルールはどうなってる? て思わなくもないが、実際それはプレイヤー間みたいなものだ。
レシアも妖精王もプレイヤーではない。そもそもがNPCにリアルの話ってしても意味はないから、プレイヤー間でのルールな訳だけど……会長の場合はその能力を存分にこっちでも発揮できるからな。
だからこそ、聞きだしたのか? セツリってちょろそうだから、簡単にそこら辺話しそうだしな。
「実際ここでは神よりもマザーに愛された方がいいと思うけど……でもあの人はテア・レス・テレスを作り上げた。それだけで警戒した方がいい。けどそんな最終的には『勝つ』人だからこそ、その為には色々と合理的に考えるんじゃない?」
僕はフラングランを振るって、それをレシアは拳ではじく。よく回る舌を閉じさせたいが……レシアには余裕がある。てかもっと激しく攻めることもできるだろう。
けどそれをしないのは、僕を下手に殺して、復活して会長の方へと行かせないためか? 遊ばれてる……それにレシアのその言葉はあながち間違っていな。
会長は勝つ。最終的には絶対にだ。それに疑いはない。けど……その過程でいくつか負けたとしても……ってのがある。会長はそんな小さな負けなんてのは気にしない。あいつは自分の評判なんて別に気にしないからな。
でもだからこそ……不安がある。もしかしたら、こいつらは会長が最終的に勝つための、『今』負ける選択を取らせようとするのかもしれないって。だってそれなら……あいつはそれを躊躇なくするだろう。