2407 前に進むためのXの問い編 791
「ごめんねヒイラギお姉ちゃん。今は……説明してる暇ない」
バッサリ――である。バッサリとレシアは切り捨てた。こんなに泣いてるのに……鬼かこいつは? とおもった。まあ確かに僕たちは今激しいバトルをしてる。だからあーでこーでこれがこうで――とか説明してる場合じゃない。
それはそうなんだけど……お前のお姉ちゃんだろう!? とか思うよね。まあ今は別に姉妹の設定なんてなくなってるから、実際の所今のレシアは――
「幼い幼女をお姉ちゃんと呼ぶ不審者」
――である。端的にいったらね。だって別に知り合いでもないし、家族でもない。今のレシアは関係的にはヒイラギとは他人だからね。客観的にいうと、そういう事になる。だから実はこっちの反応のほうが妥当なのかもしれない。
「そんなにここを潰すのが大事なのか? それが月の狙いか?」
僕は切り結んでレシアに向かってそう紡ぐ。赤く光ってる世界樹とか無視してたらヤバそうだけど、実際世界樹にはヒイラギしか干渉できない。レシアのやつが冷たい態度をするのなら、僕が優しくしてヒイラギの心の均衡を保たないといけないだろう。
なにせヒイラギはまだ幼い。自分の感情を抑え込むとかできないだろう。けど……
「月の狙い? スオウは私たちの狙いがここにあると思ってるんだ?」
「どういうことだ?」
ごめん、ヒイラギにかまってられない。油断してたらこっちがやられるし、こいつの言ってることもきになる。背中では「うぇーんうぇーん」と泣いてるヒイラギ。力を抜いたら危ないというのは理解してくれたからか、なんとか今は両手を使えてる。けどささやかな反応なのかさっきからヒイラギが僕の首元をカプカプと噛みついてくる。
実際甘咬みとかイチャイチャとかのやり取りではないから、ヒイラギはかなり思いっきり「イーイー!」とやってる。きっとかまってほしいんだろう。こっちを見てほしいんだろう。
僕だってちゃんと向き合いたい。そう思ってるのは本心だ。けど……それでも……眼の前の……この女は強い!!
「私たちは障害をちゃんとをしってる。プレイヤーの中で誰が一番危険なのか……ね。私たちの狙いはそっちだよ」
その瞬間、僕はバッと振り返った。けどそれとともに、顔面に強烈な一発をもらった。そしてレシアはこういうよ。
「察した? ならたすけたい? なら、私を早く倒さないとね」
僕の心に怒りが灯る。