2403 前に進むためのXの問い編 787
「スオウ~それってぇ~本当?」
「……」
僕はなんて答えればいいのかって悩んだ。だって間違いではない。確かに僕がリセットをした。でも僕はリセットしたけど、今のヒイラギの境遇には無関係というか? 実際僕だって今のヒイラギの境遇は知らないわけでさ。
けどここで「知らない」とかいったらレシアのやつがなんかいうだろう。多分……
「スオウが私達から全部……記憶も力も奪ったんだよ」
――とかね。しかもそれも別に間違ってはない。そうだけど……そうだけど!! だ。じゃあ「そうだ……」と応えるか? そしたらレシアはどう出る?
「ほら、ね。認めたよ? そんな人の背中にいていいの? こっちおいでよ。私達姉妹だよ?」
――とかいってヒイラギをたぶらかすだろう多分。ここで星詠みの御子であるヒイラギがレシアにつくのはまずい。本格的にここリア・レーゼが月の側に落ちる事になるかもしれない。
実際、もしかしたらそれはそれでこれからの展開的にゲーム的に考えたらある意味で盛り上がりになるかもしれない。でもこっちは大口を叩いて会長の奴から託されてるわけで……それなのに負けました……ってのはね。なんかやだ。てか格好悪い。
会長……日鞠にそんな姿を見せていいのか? というね。実際日鞠はそんなの気になんてしないで僕のことを好いてくれるだろう。その自信はある。けどこれはプライドの問題というか?
彼女に頼られたんだよ? それならそれを果たしたいじゃん。そう思うのは男としては当然というか? そんなものだろう。なのでここでヒイラギを渡すなんて選択肢はない。
「何もいえない……それが答えだってわかるよね?」
くっ、こっちが悩んでるさなかに、更においつめくるやつだ。僕はとりあえず攻撃をして黙らせることにした。僕のフラングランとレシアの体がぶつかり合う。激しい攻防……背中にヒイラギがいるとわかってるのに、こいつは容赦なんてしないらしい。なんかだんだんと頭から生えてる二本の角が赤くなってるような?
「言い返せないからって、攻撃するんだぁ?」
ニヤニヤとそんな顔をして煽ってくるレシア。こいつ、こんないい性格してたんだな。眠たそうで、周囲のことなんてどうでもいいから寝させろってタイプのニート気質なやつだと思ってたのに……戦闘もここまてバリバリできるなんてな。そんなことを思ってるとキュっと首に回されてる腕に力がこもったのがわかった。
ちょっと苦しい。まさかヒイラギが僕に攻撃を? とか思ったけど、そういうわけではなさそうだ。
「答えて……くださいぃ。彼女は私の……妹? 姉妹……ですかぁ?」
そうヒイラギは震える声でいった。これ以上黙ってるのはきっと悪手だ。そう思った。