2401 前に進む為のxの問い編 785
「うん? むむむ?」
さっきまでの勢いがパッと消えた。その炎の滾りも一瞬にして鳴りを潜める。これはチャンスではある。でもそれは別にレシアが戦いを放棄したってわけじゃない。
それが僕にはわかる。確かにこいつの炎がボウボウと周囲を積極的に焼き尽くすように滾ってはなくなったが、でも逆に不気味な程にいっきに静かになったのはきっとレシアの奴の炎の操作が超高度に至ってるからじゃないだろうか?
僕はそう感じたんだ。だからこれはある意味で誘いでもあるのかもしれない。確かに興味は僕の背後のヒイラギへといってるだろう。けどあわよくば、これをチャンスだと勘違いした僕をやってやろう……という意思がある様にも感じられる。考えすぎかもしれないが……レシアの奴は油断できない。
ただの眠たがりではないって思ってるからね。それにこれまでの戦いでもそうだ。こいつはけだるそうに……眠たそうにしてても、常に僕の一歩先をいってた。
絶対に僕に先回りを指せないような立ち回りをしてた。そんなことはあの姉妹の中ではシクラの奴とかでしか感じたことなかったほどだ。
「あんたヒイラギお姉ちゃんなの? ちっちゃいね」
そんな事を言って手を伸ばしてくるレシア。僕はその手から距離をとる。なにせヒイラギも怯えてるからね。その反応を面白がってるレシア。
「ふふ、何にも覚えてないんだね。けどそっか……まあそうだよね。スオウ君がしたのはそういう事だし。私の方が想定外……か」
そんな事を呟いてるレシア。確かにレシアの方が僕的には想定外だ。だってまっさらにしたはず。特にこの姉妹は念入りだったはずだ。マザーに苦情を入れたいくらいだ。
「私を~知ってるの?」
興味がわいたヒイラギがそんなことをぽつっと呟く。今のヒイラギには家族と呼べるものがいるのかわかんないが、少なくともここではそういうのはいなさそうだからね。
何やら自分を知ってそうな存在が気になったんだろう。そしてそれにヒイラギは優し気な顔をして微笑んだ。
「知ってるよ。だって私たちは姉妹だったんだから」
「姉妹~? お姉ちゃん?」
「ぶっ!?」
思わず吹き出してるレシアの奴。まあわかるけど。