2388 前に進む為のxの問い編 772
太陽の様な火球が放たれた。狙うは僕じゃなく、リア・レーゼの大地その物。いうなれば、その地に根付いてるこの地の人たちの営み。それらを燃やし尽くすような業火が迫る。
僕は風と雷の混合具合を再び風に寄せて一気にそれに近づいて斬ろうと思った。前のは切り結ぶと不安定になって、その形を維持できなくなり爆散した。
今度も地上に落ちる前にそうすれば……と思ったんだ。けど切り結ぶってまでできなかった。具体的にいうと……
「つっ……あつっ――」
ということだ。まあ熱源に突っ込むんだから熱いのは当たり前だ。けど前はその熱気を風で流してなんとか耐えられてた。でも、今回は違う。それに一瞬で切れたんだ。
けど今回のは炎の密度? が違うのか、切れない……そもそもが炎を切るってなんだよと言われたらそれまでなんだが……でも前はきれたんだ。確実に。けど今は密度が上がって中に入り込めないし、そもそも多分中に入ったら一瞬でHPが無くなりそうな程に熱がやばい。
「それなら!!」
僕は両手のフラングランを同じように動かした斜め下から斜め上へとね。まさにそれはホームランを狙う軌道。そう、つまりは打ち返そうとういう訳だ。馬鹿か? と? いや、でもこれしかない。斬れないのなら、なんとか上空に帰すしかないじゃないか。けど……
「いぎぎぎきぎぎぎぎぎぎ……」
腕が振るえる。息もできない。なにせ火球に近すぎるから、息を吸うと体内から燃やされそうだ。僕の風はなるべくヒイラギの保護に回してる。あいつはこの近さを耐えられないと思えなかったからだ。
でもこのままじゃ……ヒイラギまで巻き込んでこの火球に……そう思ってると、下の方から援護射撃が飛んでくる。魔法やらなんやらだ。けど、それでもやっぱり上から下へと行くのは強いのか、飲み込んだりかき消したり……そんな感じであまり影響はない。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
「やあああああああああああああああ!!」
「うおらあああああああああああああああ!!」
そんな声と共に、幾人ものプレイヤーがその自慢のスキルを駆使して火球に突っ込んできた。ここまでこっちに人を割けるということは、月人はなんとかなったのか? わからないが……ありがたい。けどそれでも足りないのか、徐々に押されてくる。僕以外の人達は一発入れては落ちていき、また舞い戻ってくる……を繰り返してるが……それでも火球に近づくたびにダメージは受けてるだろうからね。回復手段が限られてる今、何回繰り返せるか……
「世界樹様」
そんな風に背中のヒイラギが言った気がする。すると、何やら力が体の内側から湧いてくる。これは……いや、これなら!!
それからもう一度きたプレイヤー達と協力して、僕たちは火球をついにレシアへと打ち返した。




