表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
240/2702

陽炎の中で

 さてさて、ここからはイベントに参加しようと気合を入れる。とりあえずここまで来たのなら、一個くらいはアイテム欲しいしね。炎天下の中秋葉原……もとい『ブリームス』を歩くんだ。それくらいは求めたい。

 僕は一人で歩きだす。違う空を二つ仰ぎ、この幻の街の宝を求めて。

 画面に映る、リアルとは違う街の姿。そこには電線なんか無く、家々だって全く違う物が見えてた。けどこの秋葉原の街に上書きされた様な街は、有る意味で今まで見てきたLROの街とは違う。

 ここと同じ様な雑多な感じとでも言うのか、とにかく今までは一番偉い奴が住みそうな高い建物ってのはその街に一つか二つの象徴的なものだったけど、ここにはアキバのビルの数だけある。

 見上げるのが大変な位だよ。もしかしたら、今のLROのどの街よりも発展してるのかもね。まあでも、文明を感じると言うよりは、文化ってな感じだ。


 高い建物は総じて、塔の様な建物だし。それに街の姿ってのは、きっとこのアキバと同じなのかなってね。電気街の離れた所は商店の建ち並ぶ区域みたいだし、人通りとデカい建物が多い駅周りにはやっぱり、中心となるであろう建物が集中してる。


「さて、やっぱり貴重性の高いアイテムは駅周りかな?」


 僕はそんな事を呟いて、駅の方を見る。まあここからじゃ駅自体は見えないけどさ。まあどうせなら、一番レア度が高いアイテムがほしいじゃないか。

 そしてそう言うのはやっぱり今も昔も、偉い奴らが管理してそうだろ? だから街の中心部分かな~って何となく思うんだけど、でもあそこ等辺は駅周りだから、競争率が高くもある。

 有る意味、お手軽にイベント体験を出来る場所でもあるしな。そんな所にイベント主催者がバカ正直にレア度マックスのアイテムを設置してるのは微妙かも知れない。


「うん、まあとりあえずそこら変のNPCから情報を貰うかな」


 まだ時間はあるし、周りから攻める作戦で行くことに。照りつける日差しに、アスファルトの地面から立ち上る熱気が暑苦しくてかなわない。そこら辺でタオルと、再び飲み物を補充した方が良さそうだな、取り合えず。

 


 電気街だけあってそこら中に自販機がある秋葉原。僕はスポーツドリンクを小脇に抱えて、NPC巡りを開始してた。

 でも今日に限って人が山のように行るからね。と言うか、携帯を翳しながら歩くだけでも十分危ない行為。気をつけながら、僕は頭上に矢印みたいなアイコンが立ってるキャラを探す。

 それがNPCの目印だからね。そしてNPCの近くまでいって、その画面の中のNPCにタッチすると、会話が画面に現れるのだ。音声もちゃんと出るけど、読むための画面も現れる。これは外だからの配慮だろう。

 まあ、LROにしては何とも昔を懐かしむ感じの仕様だ。


「さて、取り合えず今まで聞いたNPCの話で出てきたアイテムは三つくらいかな。なんでも凄い魔法を記した魔道書が有るとか無いとか。それと流行の占いグッズとかだっけ? 後は、どこかにこの街には神の遺物が有るとか無いとか」


 普通に見つけられる程度の物はきっと、真ん中位の奴なんだろう。どれだけの数のレアな物が散りばめられてるのかは分からないけど、魔道書や神の遺物とかは単純にレア度が高そうだ。

 あれだよな。ここで手に入るアイテムは、もうLRO自体では手に入らない物なんだよな? それを考えるとどれだって貴重な物の様だけど、そこら辺に有る奴じゃ何となく満足出来ない。

 てか、わざわざ関係ない事を喋らせるNPCを紛らわせてる事ってどうなんだろうと思う。LROと違って、スペックに限界が有りそうなこのイベントじゃ、そんな余裕はもったいない様な……


「うん? そう言えば関係ない奴らは決まって、流行物を要求してた様な……」


 思い返して見ればだけど、確かに羨ましい感を出してたんだ。直接要求はしてなかったけど、もしかしたら、教えてくれる情報はNPCによって段階的に違うのかも知れないな。

 ただで教えてくれる奴らは「有る」と言う存在だけなのかも。そこからは等価交換か。


「なら、まずは何だって良いから流行物を見つけるか」


 それだって貴重なアイテムに変わりはないだろうけど、それを手放せるかどうかで、更に上のアイテムを得る権利を手に入れられる……のかも知れない。

 取り合えずそう睨んで探索開始だ。



 アイテムは確か、宝箱に入ってる奴とNPCがくれる奴が有るとか書いてあった気がするな。宝箱は一度開けたらその場から消失。そしてランダムに別の場所に移動するらしい。

 これは運の要素が求められるな。それなら一定のNPCが何かの条件を満たして渡してくれる方が効率的には確実なのかも。

 流石にアキバの街をくまなく探すのはきついよ。だってこれ建物の中だって対象だからね。しかも宝箱は熾烈な争奪戦が繰り広げられそう。

 僕は今回は荒っぽい事したくないんだ。取り合えず、漁夫の利を狙いたい所だよね。それが一番楽だし。けど今までの経験上、僕の所に都合の良い物が転がり込んだ試しがない。特にLROでは。

 転がり込んできても、厄介ごとが付いてくるのが殆どだもん。漁夫の利は難しいかも知れないな。


「でも……なんか一人っ不利っぽいな」


 まあ秋徒達と連絡取り合えば良いんだろうけど、これは流石に遊びの域を出ないかも……周りには本気でやってる人達も居るけど……その人達は多分パーティー組んでるもん。

 携帯なんて二個用意して、仲間との連絡用と、街に翳す様に使い分けてる人とかこれまで結構見た。ああ言うのにはどう考えたって勝てないよな。


「なんて言うか……行動力のベクトルが違うよね」


 まあ取り合えず、僕は僕でやれる事をするしかない。まずは情報収集だな。一端アプリを閉じて、ネットに接続。LRO掲示板を見ると、案の定イベントの書き込み一杯だ。

 「宝箱発見!」とか「みつからねー!」とか乱立してるよ。こんな所に随時書き込める余裕が有るなんて……この人たちもきっと二台持ちの強者達何だろうね。尊敬しちゃう。


「うん? これか?」


 その中で貴重な情報を発見。流行アイテムを渡してくれるNPCがラジオ会館の前に居ると言う情報だ。だけどどうやらアイテムを渡して貰う条件が分かってないらしい。渡された者とそうじゃない者の差を只今検証中だとか。


「確実じゃない……か。でも今の所宝箱を見つけるのだって運だしな。場所が特定されてるだけマシかも」


 そう遠くも無いはずだし、行ってみる価値はあるだろう。他にも気になる書き込みはあったけど、取り合えず再びアプリを立ち上げる。もしも目の前に宝箱が現れても、こうしてないと見えないからな。

 それにどこにヒントがあるか分からないし。



 重なりあった二つの街を僕は歩く。街の配置とかは変わらないんだけど、建物で随分印象が変わるもの……それを今日を知った。

 近代的な秋葉原と、ファンタジーが見える『ブリームス』どっちを歩いてるんだろうね。いや、どっちもを平行して歩いてるのか。

 そして電気街の通りを歩いてラジカン側へ――――と行くと、なんかスッゴいごったがえしてた。


「なんだこの通りの密集度は……」


 あり得ないよ。人がみんな押しくら饅頭してるみたいだ。この暑い中でよくやってる……けどこれは入れない。下手したら大惨事だろこれ。

 誰かが倒れたりしたら、連鎖的に倒れていきそうだぞ。それこそドミノみたいに。流石にこれは諦めた方が良さそうだ。携帯をその人混みに翳すと、黄色い看板の下に、三角の矢印が見える。

 けどそれだけで、姿は見えないな。う~んやっぱりネットに上げられた場所は無理だな。誰もがそこを目指してしまってるみたいだ。

 それにこれって結局誰かの後を追うことでしかないよな。追いつけるのかも怪しいやり方……勝てるとは思わないけど、LROには入手制限が極端に少ないアイテムがある。

 僕の持ってるセラ・シルフィングしかり、バランス崩しと称される武器しかり。それらは一桁……と言うか、バランス崩しにしては世界に一個しか出現しない武器だ。

 アイテムだって貴重な物になればなるほど、それを掴める人数は少なくなる。だからそれを全部持って行かれるのは、正直困る。

 少しは一般にも流してくれないと、頑張る意欲ってのがね。結局はああ言う組織だった奴らに全部持って行かれるってのはなんだかなって事だよ。


 まあそれだけ本気で向こうはやってるんだろう。それは分かるけど、みんなが楽しんでイベントをしてる。その延長線上のご褒美とかでいいんだよ。

 みんな楽しく競争しながらで良いじゃんと思うんだけど、ああ言う人達はどうなんだろう? 貴重なアイテムをただ取りに来てるだけってな感じ。

 そりゃあ僕だって世話になってるし、アイテム目的でもあるけど……イベントを楽しむ事だって忘れちゃないよ。取り合えずこの場から少し離れて考える事にするか。

 もう一度今度は自分の頭でね。


「う~ん」


 大通りの方へ戻ってしばし考察……と思ってたけど、頭が日差しに焼かれる。てか周りにもこの暑さで座り込んでる人達多数だ。

 くっそ、この日差しが思考の邪魔をするな。取り合えずどっかの建物にでも入って涼もう。そう思った。手近な電気屋さんへと逃げ込む僕。

 きっとクーラーガンガンの快適空間になってるは――


「あっつ!? なんだこの熱気は?」


 クーラーが入れられてない……なんて訳はないだろう。じゃあこの暑さは……人の熱気? ここも人が一杯だった。

 どうやら今日は、どこもかしこも人で溢れてる様だな。分かっちゃいたけど、まさかここまでとは……


「これじゃあ中も外もたいして変わんないな」


 僕はそう思い外へ。うわっ、やっぱ日差しキツ。でもこの入り口で開け閉めしてると、痛い視線に刺されるから、結局外へ出ることに。

 ここら辺はデカい建物も多い、いわば中心地みたいなもんだよな。それならこれだけ人が多いのも当然と言えば当然か。

 てか、流行アイテムをくれるNPCは一人じゃないと思うんだけど……そもそもあの情報は果たして親切とか、ただの俺ってスゲーの見つけたぜとかの自慢だったんだろうか?

 ネットに上げればああなる事は予想が付くよな……自分達はもう手に入れたからってのもあるだろうけど……それ意外にもありそうな理由が思いつくぞ。


「情報の限定的な開示での人心操作か。まあそんな大層な言い回ししなくても、僕らの様な一般を足止めさせたり邪魔されたくないから。

 他にもきっとアイテムを渡すNPCは居るはず」


 そっちを探してみようと僕は思う。踊らされるのは好きじゃないからね。でも闇雲に探しても時間だけが過ぎるんだろうし……さてどうするか。

 こうなったら逆算するかな。開示されてる情報の偏りとかで何を知られたくないのかがわかるかも知れない。日鞠の奴がこんな事言ってたしな。


【あのねスオウ。木を隠すには森の中。でもこれは別に木だから同じ物の中に紛れ込ませろってだけじゃないよ。まあ用は、何もない所よりも何だって良いからゴッチャになってれば良いんだよ。

 木じゃなくても、知られたくない事は沢山の物に紛れ込ませるのが上策。でも私は更にその上に行くけどね】


 更にその上がなんなのかは教えてくれなかったけど、まああいつの盗撮のスキルは凄いからな。家の中に紛れ込ませたカメラがその実力を物語ってると言っていいだろう。マジで引くよ。僕じゃなかったらね。


【スオウにしかしないもん】


 とかいってたけど、僕が訴えれば、アイツ逮捕できると思う。まあそんな事は結局しないんだけど。

 僕は携帯を翳すのをやめてネットへ。そしてさっき見てた掲示板へと行く。そこには景気良いらしい書き込みが何個かあるな。

 勿論景気悪いのもあるけど、それらは無視して、景気良い奴らの書き込みにだけ、注目してみる事に。


「う~ん」


 別にこうして見る限り、何がどうかとか、良くわからないな。そう言えば僕は重要な事を忘れてたよ。


「僕ってそんな頭良い方じゃなかったな……」


 自分で言ってて悲しくなるけど、僕の成績は真ん中なんだ。可もなく不可もない、中間そこらが僕の位置。だけどここで投げ出したら、ここでしか手に入らないアイテムなんて夢のまた夢。

 何かないかな? なにか……この文字の中で埋まってる物。


「……とは言ってもな。書いてあるのは、報告と僅かな情報交換の様な物だけ。それからアイテム発見の場所……か」


 アイテム発見の場所は、屋内が多いな。情報交換は自分がどこに行くかを書いてる位。そして見つけたら更に報告が書き込まれるみたいだな。ランダムで移動するアイテムの場所が書いてあっても、いみないしな。既にそこには無いって事だし。

 そしてその書き込みで、高確率でアイテムを発見してる奴ら……そいつ等が本気の度合いが違う奴ら何だろうな。勿論さ、素直に書き込んでる人も、偶然にアイテム手に入れた人の書き込みもあるけど、そいつ等は何度も書き込みしてる内で、最も発見の報告が多いんだ。


「ん?」


 そこで僕は気づいたぞ。組織だった奴らと、偶然たまたまの書き込みの違い。


「そう言えば、この良く見つける方はリアルでの場所しか書いてないな」


 まあそっちの方が分かりやすいって感じだと思ってたけど……もしかして違うのか? 僅かに感じた違和感だけど、この際考えてみるのも悪くない。

 偶然たまたまの方は、画面の中に映る建物の事も書いてあるのに、一個もそっちに触れてない乱獲野郎ども。今の所そんなんしかわからないから、取り合えず確認だけしてみる事に。

 ラジカンはLRO側ではどんな建物がそこにあるのか……僕は再び携帯を向けた。ブリームスは基本なんか黒い町だ。暗いんじゃ無く黒いね。建物の建築資材にそれが混ざってるのか知らないけど、黒くシックな印象を受ける建物が一杯。

 そしてラジカンに重なって建ってる建物も当然その準拠で、そこに建ってるのは建物なかなか立派でこう表示されていた。


「国立第一研究所(別)か」


 なんだ(別)って? 別館か何か? まあ今はいっかそこら辺は。きっと大きいんだろう。何の研究をしてるのかとかは知らないけど、取り合えずそう表示されてるし、それなら次に狙う建物は自然と決まるよな。


「よし、第二研究所を探すか」


 僕は一人でそう呟いた。まあ第一があれば、第二も第三もきっとある。それに発展してる様な町並みだしねブリームスは。


「けど、このアキバの町から研究所を探すのも一苦労だよな。地図は出ないし……どっかに無いかな?」


 僕は歩き出す前にネットを再びチェック。書き込みは沢山あるんだし、ちょうどその場所を書き込んだ人がいるかも知れない。


「…………」


 ダメだなこれは。そんな都合良くリアルは出来てない。それに基本、アイテムやちょっと違う事を発見した場所の事しか詳しく書かれてないし……それにあの乱獲野郎どもはあてにならないから、偶然の産物を期待するしかなかったわけだよ。

 アイテム発見ならそれなりに組織立たなくても運でいけてるみたいだけど……それ以上の情報はなかなか上がってない。やっぱり地図がないのは痛いよな。地図――


「地図か……地図……あ! そうだ」


 僕はあるギルドを思いついた。ここもLROといえる場所ならさ、地図ギルドの人達も参加してるんじゃ無いだろうか? 

 てか幻の街だよ。参加してない訳ないだろ。セラいわく、その人達の目的は、LROの全てを把握する事らしいから、ブリームスだって見逃す訳がない。

 僕は早速地図ギルドのホームページを検索だ。


「おお!」


 歓喜の声が思わず上がる。流石は地図づくりの為にどこへだって行く人達だ。既にエリアの三分の一は埋まってるじゃないか。

 しかもホームページのホーム画面で随時更新してるらしい。秋葉原の衛生写真上にリアルとLROの場所を入力していく形だな。

 うん、これは分かりやすいぞ。でも見たところ第二研究所はまだ発見されてないみたいだな。けど変わりに第三・第四はある。まずはそっちから当たるかな。


「第四の方が近そうだな。中央通り万世橋の向こう側だし。この中央からはちょっと離れるけど、まあ致し方無いよな」


 僕はこのサイトをお気に入りに登録して、再びアプリを起動。そして第四研究所を目指す。



 たどり着いた第四研究所は、小汚いビルだった。なんか第一研究所だったラジカンとの差が大きい。やっぱりそこは第四だからだろうか? 

 まあだけどアキバらしいビルではあるけどね。画面の中の映像と対照的すぎるよ。なんていうかこう……萌え萌えしてる。こういう所に入れる強者達はきっとみんな勇者なんだろうね。

 けどどうやら、中にまで足を踏み入れる必要は無いみたい。画面の中には白衣を着たNPCの老人が一人、そこには居るよ。

 もしかしたらこの人が、流行アイテムをくれたり――なんかしそうじゃないんじゃないかな? 何で爺だよと、心の中で叫んだよ。別に年齢とかは関係無いのかも知れないけど、この人の流行は何十年も昔に終わってそうだ。

 まあだけど取り合えず指で触れて見た。


【おお、どうしたもんか……どうしたもんかの……】


 なんかそれで会話が終わったんだけど……こっちがどうしたもんか――――だよ! 息の根を止めてやろうかこの爺。この炎天下の中、ここまで歩くのだってきついんだ。それをそんな会話で終わらせるな!


「くの! この!」


 僕は意地になって何回もこの爺を押しまくる。けど別に会話の内容が変わるわけでは無いみたいだ。僕がやらなくてもそろそろお迎えは近そうだな。


「はあ……折角期待してたのに……」


 なんだか一気に疲れたかも。たく読みが浅はかだったかな。僕はスポーツドリンクで喉を潤しながら、周りにも目を向ける。取り合えずここら辺のNPCに総当たりしてみようかなとか思ってるんだ。

 それくらいしかやれない。第三研究所を目指すのはその後だな。


「ああ~髪の毛がやたら熱い。頭が溶けそうだぁ」


 頭を掻こうとしたら、そんな事に気づいちゃったよ。髪の毛は黒いから、この日差しはキツいな。

 そんな事を思ってると、どこかからチカチカと目にうざったい光が入ってきた。太陽じゃないそのちらつきに目を向けると、そこには何とも涼しそうな頭がある。

 まあある意味地肌を焼かれてる様な物なのかもしれないな。けど……あの光ようはうけるんだけど――プフ。


「何であんなに光って、頭まで日焼けするんじゃないかあれ?」


 なんか変な壺に入ったかも。笑いがこみ上げて来ちゃう。それにしても、なんだかああ言う頭最近見たような……僕は必死に笑いを堪えてそんな事を考えてると、ハタリとその周りのチンピラ風の奴と目があった。


「「「あっ……」」」


 僕達のそんな声が重なった。そしていち早く舌を巻いて声を出したのはチンピラの一人だ。


「てっめぇえはああああああ!!!」

「ああ、あそこにもの凄くエロかわいいコスプレイヤーが」

「「あんだって!?」」


 速攻で振り向くバカ二人。中央のハゲでグラサン、そして入れ墨の人は、振り向くかどうかを躊躇ってる。なんか自分と戦ってるな。

 まあどっちにしろ、僕はこの隙に猛ダッシュ! 


「ははは! そんなエロ可愛いコスプレイヤーなどいないわ!!」


 それにしてもこんな古典的な罠? いや既にギャクに引っかかるとはどんだけオツムが悪いんだ? ブチ切れして追ってきてるけど、やっぱり追いつかれる気はしないな。

 てかタイミング悪いんだよ。



「はぁはぁはぁはぁ……」


 やばい、振り切るのは簡単だったけど……なんか干からびそうだ。てか流石に体がちょっと痛いかも。全力疾走はどうにか控えた方が良いのかもしれない。

 都会の空気が肺を犯す……こういう臭いまでは変えられないから、やっぱりここはリアルなんだよな。

 ビルとビルの隙間でへたりこむ僕。携帯を翳して違う風景に心の安寧を求める。だってリアルはゴッチャしてるからね。ブリームスの風景を求めたんだ。


「ん……あれ?」


 なんかまた暗くなってる。そしてザザザとノイズが走り、次の瞬間最悪な奴が僕の携帯を侵略した。


「ジュビドロピー! 魔法の言葉でシクラちゃん登場☆」


 キラっと☆が光った瞬間、僕は携帯を壊そうかと思った。

 第二百四十話です。

 なんだか予想外の奴が登場した所で終了です。実は最初考えてたのはシクラじゃない別の奴だったんですけど……色々と考えた結果、シクラ再登場になりました。まあブリームスもLROですからね。

 少し仕様は違うけど、アイツが来れない訳はないって事で。それにこいつらも多分動いてる筈ですし。勿論ただなんにも無しに登場した訳でもない筈です。てか、シクラって敵だけど、その境界をフラフラ出来るキャラでもあります。

 なので良いかな~と。

 てな訳で次回はスオウとシクラのコンビで行きます。次上げるのは金曜日と言うことで。ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ