2369 前に進むためのXの問い編 753
(あれって……)
そんな風に僕は頭の隅でさっき見た星詠みの巫女の事を考えてる。けどそんな風に考え事をしてると、一回よけた月人の攻撃の後にうまい具合で後ろからきたもう一体の剣が僕の体に食い込む。
けど……
「つっ!?」
僕はとっさに剣が動く方向へと一緒に動いて、さらには剣と体の間に高密度の風を作り出して刃が食い込むのを防いだ。けど勢いがかなりついたから、結構吹っ飛ばされる。
でもすべての勢い……それを僕は完全にコントロールすることが出来る。それこそが風帝武装だ。どんな勢いでも百にも零にも出来る。だからこそ、どんな空間だって今の僕は駆けることが出来るんだ。
だからこそ、ふっとばされた勢いを利用して一瞬で月人に肉薄する。奴らは僕をふっとばしたら、今度はモブリの奴らに……とかおもったかもしれない。けどそれは甘い。ふっとばされた筈の僕は奴らの背中に既にいる。そしてその背中に深く切り込んだ。
「あが!?」
「ぎゃあ!?」
「あぎゃあああああああ!!」
二体を切り結んだ時点で近くの三体目がその両手を剣に変えて迫ってきた。かなりの速さだ。しかも完全に攻撃に特化してる。それになんとなくだけど……
(僕の動きに似てる?)
そうなのだ。なんかこいつ、僕を観察してたのか僕の動きをどことなく模倣してる。実際さっきまではこの進化した月人たちは、その手に盾も装備して結構堅実に戦ってた。通常の月人が野性的って感じで、こいつらはもっと理性的? と言っていい感じ。
でもそれもちょっと語弊があるかもしれない。理性なのか野生の勘なのかって感じではあった。今の動きだってそうだ。確かに僕を参考にしてそうだけど、その動き事態はとても荒々しい。
でもだからこそ、やっかいだ。単純な力なら向こうの方が上だしね。技術の僕、力の月人って感じだ。しかも他にも月人が参戦してくる。しかもそいつら……単純に腕が増えてる。
僕が首を切り落とした月人をくちゃくちゃと食ったから、その腕が四本になって、体も一回り位大きくなってた。
「くっ……」
一気に形勢が不利に傾いてきたかも。それでも風と速さを武器に僕はなんとか粘る。さっきまでは隙を見て致命の一撃を与える事ができたけど……今はその余裕がない。いくら僕が最高に速いといっても……この人数差はきつい。なんとか全員を自分へとヘイトを向けさせてるだけでもかなりすごいことだ。
風を最大限に使って、それにコードを見て先を見据えてることでなんとか対応できてる状況だ。体もそうだけど、頭も最大限に使ってる。いつまでも続くような状況じゃない。
実はちょくちょくと攻撃あたってるしね。それを無理矢理無視して、危なくなったら、回復薬をちょくちょくと使用してる。僕の場合はコードを使えるからHPが一定以下になると自動で手持ちの回復役を使うっていうコードを自分に適応してる。その御蔭でHPが一定以下になるとなんの行動をすることもなく回復が入る。
でも一気にHPをゼロにされたら……それがきっとこのひと周り大きくなった月人ならできるだろう。なんとか数を減らしたいところだが……そんな事を思ってるとようやく、後方からの支援が飛んできた。




