2345 前に進むためのXの問い編 729
「お前……それ……」
ふっ、驚いてる驚いてる!! その顔が見たかった。いいねえ……私なんて雑魚とか思ってたんでしょうけど、そんな私の隠し玉をみて、驚愕するその顔!! いやー気持ちいい。
私は色んな漫画とかでもある、いつもは飄々としてたりぐーたらしてるキャラが実は強キャラ……ってやつが大好きなのだ。まあ実際、私はまだ強キャラかと言われると、全然そんな事はない。強――はつかないだろう。
けど私は満足してる。こんな反応をみれたんだ。ここまで引っ張ってきてよかった。
「言ったでしょ。私には大いなる力が封印されてるってね」
「いつの間にそんな……」
スオウはきっと私がまったく冒険してないって思ってたんでしょう。まあ実際、あんまりやってないが、けどそれでも取捨選択はしてた。実際、このLROという世界で、私ほどに冒険をしないやつが居るか? と言われたらきっと居なかっただろう。
だって……だ。だってLROは本当に凄い。こんなのはもう一つの『世界』だ。ただのゲーム……とかやったこと無い奴らは言うだろうが……一度でもこの世界に踏み入れた事がある人ならもう安易にLROをゲーム……なんていえない。
それだけの衝撃があるからだ。そんなもう一つの世界だからこそ、「なにかやってみたい」――と大抵の人は思うんだろう。リアルの方ではやれなかったこと。もう取り返せない時間……そんなのを取り戻してる人もいると聞きます。
自身の過ぎ去った青春……それを取り戻そう学校に通う人もプレイヤーの中にはいるみたいだしね。プレイヤーはこの世界のNPCの人たちと同じように過ごそうと思えば過ごせる。
まさになんだって出来る。
(けどそんなこの世界で、私は何も知なかった)
そうなのだ。私がやったのはチュートリアルくらいである。自身にあった武器も最初のチュートリアルでとったけど、そんなのは早々に放り捨てた。私は沢山の人が冒険を楽しんでるなか、町中でぬくぬくと過ごしてた。まあ孤児院とか子どもの世話とか大変だったけどね。
私は孤児院の街で馴染めるようにそこは色々とやったのだ。私の冒険はいうなれば、あの孤児院のある街でしかない。それでも楽しかった。時々、街の外でちょっとしたモンスターを相手にする。
そんなのでちょうどよかった。やっぱり日本とは違う空気とか、彩りがあるのだ。だからリアルよりもゆったり出来るというか? 私はそんな空気を堪能してたんだ。こんな毎日の中では変化なんて起きない。
普通はそう思う。けどLROはどこにイベントの動線があるのかなんてわからないのだ。だからこそぐーたらしてた私でもこんな力を手に入れる事ができた。
私は持ってる女だからね。




