2344 前に進むためのXの問い編 728
「ところで、ありがとうリルレット」
「あ、いえ」
なんか私の言葉は華麗にスルーされた。おい!
「ちょっと、私だって月光降ってるから!」
「そういうことじゃない。僕の目には見えるんだよ」
「目……ね。うっ!?」
私は左目を抑えて腰を曲げて、足元をふらつかせる。何が目だ。確かにスオウの目は特殊だ。そもそもリアルでもその能力が発揮できるってなんだ? おかしいでしょ。LROではシステムの補助がある。それにそもそもここはゲーム中で現実の肉体ではないから、地球に縛られないような動きができる。それには納得しか無い。
ここでなら私の目にだって邪眼が宿る。けどスオウはそれをリアルにも持ち越せる。ずるい。そんなのズルい!!
「左目が……疼く……この目に封印された悪竜の力が……」
「この前は聖なる力とか言ってなかったか?」
「ふっ、力には陰と陽の両面があるのよ」
素早く突っ込むな。設定の甘さが露呈するだろうが。でもお陰でハイブリッドな力が宿ってるというような感じになった。良しとしよう。ちょっと前は闇系統に偏ってて、そっちのほうが格好いい……と思ってたんだけど、今は光と闇のハイブリッド路線が格好いいと思ってる。
最近、いろんな作品でもいるじゃん。ツートンカラーをモチーフにしたようなキャラ。あれである。私も髪色をツートンカラーにリアルでもして、ついでにカラーコンタクトを左右で色違いを付けたらとてもいいんではないだろうか? と思う。
「で、その力は月まで届くか?」
スオウがそんな事をいってくる。絶対にこいつは……いやこいつだけじゃなくリルレットちゃんもエイルも私の言葉を信じてなんて無い。ふっ……まったくこれだから凡人は困る。
「少しだけなら。その間にあのデカブツをあんたがどうにかすると約束しなさい」
私は顔を挙げずにそういう。スオウは「はあ」とかいうため息を出す。けどどうせできないと想いつつ、了承した。
「もちろんそのつもりだ。まだ諦めたわけじゃない」
「そっ、ならやってあげる」
そういって私は顔を上げる。その時左目は左手ておおってた。けど空の月を見つめて、その手を撫でるようにしてどけた。するとどうだろう? 左目の周囲には青い陽炎が揺らめいて、その中の瞳は灰色で雪のようなきらめきをこぼしてる。
勿論スオウもエイルもリルレットちゃんもびっくりしてる。そうそう、その顔が見たかった!!