2340 前に進むためのXの問い編 724
「二人共なにしてるんですか!!」
そんな風にリルレットちゃんが怒ってる。私とエイルが壁に突き刺さって尻だけ出してるスオウを見てゲラゲラと笑ったのが原因。けど考えてみてほしい。そんな現実ではありえないけど、薄い本では見られるシチュエーションが目の前にあったんだよ? そんなの笑うしか無いじゃん。
きっとリルレットちゃんはそういう本を読んだことがないんだろう。実際リルレットちゃんはとても純粋そうだからね。こういうゲームしてるのってのが不思議なほどだ。まあLROはとても話題のゲームだっだからね。
結構普段はゲームをしないって人もLROはやってたりもしてる。
「とにかく、早く助けないと」
そういってリルレットちゃんはスオウの元へかけていく。そして服を掴んで「んー! んー!」と引っ張る。けどかなりすっぽりとハマってるらしい。あれは壁に穴が空いててそこにハマったのか……それとも突っ込んで壁に穴をあけたのか……
実際薄い本じゃあるまいし、壁に丁度いい穴が空いてる……なんて事はないと思う。つまりはスオウが頭から突っ込んだことでできた穴にあいつは尻で止まったという……プププ……考えたら面白くて笑えてくる。
リアルなら、人間の身体が壁に勝てるわけない。だから普通なら人間はベチャッ――となるだろう。あんな風に体が無事で壁に穴が空くなんてない。けどここはLRO。だからこそこうなったんだろう。
「二人共手伝って――」
見てる私達にリルレットちゃんがいってくる。はっきりいってあの壁から引き抜く……なんて無理だと思う。だってぴったり過ぎる。あれから引き抜くなんて……そんなことを考えるくらいなら……私とエイルは同じことを考えたみたいだ。
「え? 二人共なんでこっちに魔法を放とうとしてるの?」
そんな風に困惑するリルレットちゃん。わたしたちはそんな彼女に向かって……じゃないが、とりあえず魔法を放った。
「や、やめてええええええ!?」
そんな声が響いたよ。
「あ、あれ?」
どうやらリルレットちゃんは自分にはあたってないのを確認したみたい。それはそうだね。わたしたちは別にリルレットちゃんを狙ってないし。じゃあスオウ? いやいや? スオウでもない。私達が狙ったのは壁の方だ。それを魔法で崩そうとおもった。いつもの町の建物なら、それこそシステム的な保護がかかってるわけだけど、すでにもうぶっ壊れてる壁なら簡単な魔法で崩すことが出来ると思った。
スオウが突っ込んだ壁の周囲を壊して、私達はスオウを救出したのだ。