2334 前に進むためのXの問い編 718
「むむむ……ねえ」
「なんですか?」
そんな事を言われたとき、スオウ君がかなりの技を使ったのか、ドッガーン!! と大きく超大型の月人がよろめいた。そしてその膝が折れた。膝カックンしようとしてたのですけど、その必要は今はいらないようです。それにこのチャンスは逃してはダメでしょう。私はメカブを背負ったまま、ジャンプしてひざ下の所で一回再びけって二段ジャンプのようにして折れてる膝まで到着した。
「スオウ君!!」
私は槍を構える。そして叫びました。きっと彼ならわかってくれるでしょう。私たちは通じ合えるほどの仲なのか……と言われると困ります。普段ならきっと私たちは通じ合えない。日常では私と彼の常識には違いがあるのです。海外での戦場生活が長かった私と、この平和な国で生きてきた彼……彼もそんなに平穏……ではなかったみたいですけど、それでも私たちの環境は全く違ったのです。
だからこそ、日常では色々な齟齬が私は起こります。それは別にスオウ君とだけではないです。皆とです。けど今は今だけは……この戦場という場所でなら私たちは通じ合えると確信出来ます。
なにせ彼を私は鍛え続けてきました。まだ一年……もうすぐ一年くらいですが……でも確実に戦いの中でなら、私たちはわかりあえて来たはずです。私の槍が水をまとう。そしてそれは私の足にも伝わって、滑るように胴体をあがる。そして同時にスオウ君も直上から迫ります。どうやら初めて見る形態。風と、雷……そして炎。それが混生してるように見えます。真っ赤に燃える彼の光で周囲が照らされます。それによって月光が……光が……より強い光で遮られます。
「「はああああああああああああああああああああああ!!」」
私達の声が重なり合う。そして私は顎に槍を突き立てて、スオウ君は脳天にその剣を突き立てたでしょう。上下から挟まれた超大型の月人。なんとかそのデカい口を開けようとしてますが、私たちは渾身の力を込めてつきぬけた。
いえ、私は結局顎を砕くくらいしかできなかったみたいです。けどスオウ君は脳天から私とすれ違いました。つまりは、そう……彼は月人の頭をかち割ったのです。
あつい……彼の熱気……そして風が吹き抜ける。けどその時です……槍と盾になってた月蛇。それが武器をやめて動き出しました。何をしたのか……私たちに攻撃を仕掛ける? と思ったんですけど、違いました。スオウ君が砕いた頭……そこから二匹の月蛇は超大型の月人の肉体に突き刺さったのです。
私達は何が起きてるのか……わかりませんでした。