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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2326 前に進むためのXの問い編 710

 超大型の月人は再び咆哮を叫ぶ。うざったいんだろう。いくら振り払っても私たちは次から次へとやってくる。だからこそ勝手に全方位に影響を及ぼせる咆哮に頼った。あれが一回限り……なんて思ってなかった。なにせただの咆哮である。私達にはノックバックの効果があるどでかい声で耳を通して脳にダメージがくる感じがありますけど、この月人にとっては実際ただの大きな声だと思います。


「くうっ……」

「づあぁぁぁぁ!?」


 音をどうやったら防げばいいのか……それが出来る人はほぼいない。だからこそ、再びの咆哮にたくさんの人がノックバックされる。しかも……だ。しかも今度は一回で月人は終らなかった。連続して超大型の月人は叫んだ。そのせいでか、建物までなんか吹き飛んでる。体が浮いてしまう人たちもいた。私はメカブを抱え込んで近くにあった柱を掴んでなんとか耐える。けどそんな事をやってる間にも、また再びの咆哮。地面にあった瓦礫やらなんやら一気にすべてがこの超大型の月人を中心に吹き飛ぶ。それが何度も続くと、私が掴んでた柱も音の衝撃だけで吹っ飛んでいく。


 超大型の月人を中心にいろんなものが吹っ飛んでいく。何回も何回も続く咆哮。そしてそれがようやくやんだ時、超大型の月人は夜空にそびえるように立ってた。そして、やつがいる場所のかなりの範囲が更地になってる。奴の咆哮で砕かれて、吹き飛ばされて飛んで行ってしまったからだ。けどそんな更地の場所に一つだけぽつんと残ってる建物があった。

 教会だ。教会は加護による守りがあるらしい。だからきっとそのおかげで無事だったんだろう。でもこの状況はまずいです。


「くっ……いかないと……つっ!?」


 吹き飛ばされても、LROでの体なら、回復薬でも飲めばどうにかなる。体はリアルとは比べ物にならないくらいに頑丈なのがこのゲームです。HPがあれば、たとえ心臓を貫かれたとしても、HPが尽きる前に直せばなんとかなるくらい。でも今の状況……それはなかなかに面倒なことになってた。私は上手く瓦礫に挟まれてる。腕……足……それぞれをつぶれてしまってる感覚。これではジェスチャーコードもかけない。


「メカブ! メカブ!」

「う……ん? 朝?」

「馬鹿な事を言ってないで、あなたのどうですか? 動けますか?」


とりあえずメカブは私の体の下にいるからまだ無事なはず。けどどうやらメカブも外に出ることはできないらしい。


「むりー!」

「「ならインベントリから回復薬お願いします。いえ、喋れるのなら魔法! 回復魔法です!」

「私の魔法じゃ、欠損してたりするのまでは治せないよ」

「なら最上級の回復薬を!」

「えーもったいな――」

「メカブ! あの月人は絶対に次は教会を狙います! 避難してる人たちがいるんですよ!!」

「そういう事は早くいってよ。私は状況全然わかんないだからさ」


 確かにそうですね。メカブからはこの状況見えないですもんね。でもだから、早く!!


「ん? あれ? なんで?」

「どうしました?」

「なんか、インベントリが開かない」

「はい!?」


 そんな冗談いってる場合ですか!? とか言いたかったけど、この状況なら流石のメカブでも冗談は言わないでしょう。なら本当にインベントリが使えない? そんな事……けどそれだとどうしたら……あの超大型の月人はたった一つぽつんと残ってる近くの教会に向かって歩き出してる。一歩を踏むたびに、地面が落ち込み、やつの脅威を物語ってます。

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