2326 前に進むためのXの問い編 700
「うわあああああん! わああああん!」
子供の鳴き声か響いてる。そんな声に反応したのは、最悪なことに月人だった。その子は燃え盛ってる建物の内部にいた。両親は一体どこに……とか、なんできてくれないの? とかそんなどうしようもない気持ちが高ぶってその子は顔をぐちゃぐちゃにして泣いてる。その鳴き声が求めてるのは勿論だけど、両親だ。お父さんとお母さんに気づいてほしい。そして「大丈夫だよ」っていって抱きしめてほしいのだ。
けど、そんな子の前にのっしのっしと炎の中から現れたのは白くて、そして上半身がパンパンの月人だった。明らかに普通の月人よりも大きくて、そして筋肉もりもりなそいつを前にしても、子供はないてた。反応はない。もうただ泣くだけ。それしかその子はできない。月人はその子の前で止まってる。もしかしたら特殊個体でこの泣き叫んでる子供を助けに……なんてことはなく。月人は子供の頭よりも大きなその拳を振り下ろす。なんの脈絡もなく……だ。
ドゴオオオオオオン!!
そんな音と共に、なんとか保ってた建物が崩れだす。そのまま月人も建物に押しつぶされる……かと思われたが、月人は飛んだ。そして崩れ行く建物を飛び出した。するとその目の前には、さっきの子供を抱えた人物がいた。どうやらあの一瞬で子供を助けるために燃え盛る建物に突っ込んで瞬間――子供を助け出した人物がいたらしい。
月人はその人物を追って飛んだみたいだ。
「大丈夫、すぐにお父さんとお母さんの所に連れて行ってあげます」
その人はそんな風に優しく声をかける。するとその子はようやく涙を止めて自分を抱えてるその人物を見上げる。けど顔はみえなかった。でもとても安定してた。太い腕の片方だけでその子は抱えられてる。でもその子は不安なくその腕に収まることが出来てる。それだけの安定感があるということだ。
「あがあ!!」
「ふん!」
月人が追いかけてきて、拳を向けてくる。その拳にその人も拳を返す。すると二つの拳がぶつかり合う。その人の拳は月人よりも小さい。いや、この月人がおかしい大きさをしてる。だから「あっ」とその子はいった。きっと痛い痛いなっちゃう……と。けど結果は違った。なんと、打ち勝ったのはその子を抱えてるその人だった。
「邪魔をしないでください!」
そういってさらに懐にもぐりこみコンパクトなパンチを腹と顎にきめる。そして最後に軽くジャンプしてその足で月人を蹴り飛ばした。かなり大きな体の月人はその一連の攻撃で吹き飛んでいく。
「しゅ、しゅごい!」
そんな声が思わず出てしまう。するとその人は優しく微笑んでくれた。これだけ強いその人は女性だった。青い肌に独特な耳の形。肌も普通の肌とはちょっと違う。でもその子はもう、そんな違いなんて全く気にならなかった。