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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2322 前に進むためのXの問い編 696

「会長、ご苦労さまです」

「うん、皆もありがとう。とても助かりました」

「いえ、会長の頼みですから」

「そうだよー、私達、会長にはお世話になってるしー」

「うんうん、LROのこともそうだけど、リアルのことも色々とさ」

「そんな、私はちょっとお話を聞いてるだけです」


 私はそんな風に皆にいう。そして今回手伝ってくれた人たちに頭をさげた。皆優しいから「いいよー」と言ってくれてる。本当に私は人に恵まれてます。予定があった人も居ただろうに、私がお願いしたらきてくれた。けど好意に甘えるだけでは駄目。ちゃんと次は私が力になってあげないと。


「なにか困ったことがあったらいってくださいね。私が出来ることなら誠心誠意、対応します!」

「はは、会長がそう言ってくれるのならとてもありがたいです」

「そうそう、百人力だね!」

「てか、会長に解決できないことなんて……あるの?」

「「「それはそう」」」


 そんな事を皆言ってみなさんが笑い合ってる。皆さん私を高く評価しすぎです。私だって一人の人間……それにまだまだ成人もしてない一人の女の子です。人生経験なんて全然足りてないでしょう。私はいつだって自分の未熟さを痛感してます。確かに私は人よりも頭がいいと思ってる。大抵の事は一回見聞きすれば頭に完璧に入るし、行動力もある方だと思う。けど本当は私は人見知りだし、応用力とかいう面ではまだまだだなって思う。

 対応力とかもそうです。まあ人一人の力なんて天井なんてのはすぐそこだと自覚してるから、私は自分の人見知りを抑え込んで沢山の交友関係を築いてる。一人では出来ないことも、『皆』となら出来ると知ってるからです。よく色んな人は言います。


『日鞠ちゃんなら一人で十分なんじゃ?』

『日鞠ちゃんなら、一人の方が早いよね……』


 ――とかである。けどそれは違う。結局一人でやれる事なんて少ないのだ。リアルは漫画やゲームの世界じゃない。一騎当千の活躍なんてのは無理なんだ。私だって疲れるし、眠くなる。たまには甘えたくなる。好きな人のところにすべてを投げ捨てて行きたく成るときだってあるもん。

 確かに私は普通の人よりも出来ることは多いと自覚してる。けど、それだけじゃ何かをなし得る事はできない。私はきっと誰よりも……私が小さな人間だと思ってるんだろう。皆は私を『凄い』といってくれる。頼ってくれる。それに対して私は頑張って応える事ができる。

  だからやってるだけだ。でもその凄い……では物語の英雄の様な事はできないと私はしってる。皆が私を頼るように、私も皆も頼ってる。相互補助をしてる。なぜか皆は私に助けてもらってる――という想いが強いみたいだけど、私は相互に助け合ってると思ってるんだけどな。


 今回の出会いだってそうだ。あの人達は私達に助けられた……と思ってるだろう。だからいっぱい感謝してた。でもそうじゃない。あの人達が居たから、悲劇が少しは緩和された。私が本当に皆が言うようになんでも出来るのなら、その悲劇だって最初から解決してないとおかしい。最初からそれが起きない様にする……それが英雄というものだろう。

 でもそんな事はできない。だから私には最善を尽くすしか出来なくて……そして彼らも最善を尽くした。だから私達は助け合ってたんだ。そこにはきっと上も下もない。

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