2309 前に進むためのXの問い編 684
「トトくん? トトくん!!」
ショタの名前を叫ぶセイン。すると壁の向こう……いや、今やその壁が既に薄く見えてる。さっきまでは確かに何の変哲もない壁に見えてた。けど、今や意識したからか、壁が薄く見えて、その先が見えてる。その先には通路が見える。どうやらこの先にも別の通路があるみたいだ。
そしてその通路の奥で、小さな姿が見える。でも彼は……あのショタの姿は顔しか見えてない。きっと、セインの布を被ってるからだろう。あのおかげで、この通路にも月人が居たにも関わらずにショタはなんとか生きてた。
「せい!」
「はっ!!」
「よっ!!」
そんな感じで一緒にいたテア・レス・テレスの面々がそのスキルを使って月人をたおしてくれた。この隠し通路? の方にはそこまで多い月人は居なかったから、倒すのも早かった。多分だけど知らずにここに踏み入れて、そして壁があるせいでどうやって出ればいいのかわからなくなった月人がいたんだろう。そんなときにいきなり壁の向こうから敵であるプレイヤーがやってきた。だから興奮して突っ込んできたんだろう。それによってこの壁が幻影だということにきづいた。
「お、お姉ちゃん!」
「トトくん!!」
二人は駆け出してそして抱きついた。セインがあんなに求められてるなんて……どうやら洗脳……じゃなくセインのお姉ちゃん計画は順調なようだ。トトくんにはちゃんとセインが気のいい優しいお姉さんということになってるんだろう。本当は自分好みのショタを作り出そうとしてるヤバい女なんだが、その優しさの中心に彼はいるから気付くことはないだろう。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
「ごめんね。怖かったよね……」
まるで数年来……いやもしかしたら生まれたときから一緒に育った……みたいな感じに見えるけど、そんな事はまったくない、彼らは出会って数時間の関係である。まだ一日も経ってない。それであれだけの関係性とは……もしかしたらここで出会ってたのが、ロリな少女で、俺が理想の妹を作ろうとしてたら、今ああしてたのは……自分だったかも?
(いや、流石に犯罪か……)
女がしたら許されるが、何故か男がしたら許されないって事は往々にしてある。女性がショタにグヘヘとしてたらまだなんか許される風潮があるが、男性が少女にグヘヘとしてたら、問答無用で御用されるからな。世知辛いが、それが世の中というやつだ。
「あの子が探してた子ってことでいいですか?」
「はい、どうやら無事だったようです」
テア・レス・テレスのその人にそんな風に伝える。これで一つの目的は達した。後はまっすぐに太鼓の音のところに辿り着くだけだ。