2308 前に進むためのXの問い編 683
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
盾を前にして襲い来る月人に突っ込んだ。もう盾関連のスキルだってすべて封印されてしまって代表的な「シールドバッシュ」とかも使えない。でもスキルとしてではなく、その動きを真似る……模倣することはできる。もちろんそれはスキルとしては発動してない。スキルのマニュアル発動のように、その動きじゃなくても、そのスキルの効果を得られる……とかもない。
でも、実際今までの経験を思い出してその動きを再現してみると、スキルとしてではなくても、うまく動ける……そんな気がする。攻撃力にスキルの効果が乗るとかはない。けど……まるで武術の一つの型? みたいな感じでそれはただ何となくやる動きとは違って、洗練されてる気がする。
その証拠にただ月人の攻撃を盾で止めるとふらついたり、後ろに流されたりしてしまうが、今はどうだ? 俺は月人の攻撃を受けつつ、前に――さらに前に進んでる。
「おらあああ!!」
最後に盾を大きく振って、月人共を五人くらい吹き飛ばす。それは後方の壁にぶつける気持ちだったからだ。勿論それで倒せるわけじゃない。けど、多少のダメージは入る。そしてダメージを受けてる間に俺よりも攻撃力が高い攻撃担当の奴らに倒して貰う。それが狙い。けど……
「え?」
なんかすかった。スカったと言うのは俺が月人達を吹き飛ばせなかった……ということじゃない。なんか思ってた想定とは違った……ということだ。背後の壁に叩きつけるつもりだったのに……なんかいきなり月人が消えたんだ。
「なっ!? 消え――」
「おいおいどういう――」
そんな感じでフォッチャもベズも驚いてる。二人は連携として攻撃を加えようとしてた。だからこそ途中で止まれない。眼の前の壁に突っ込んでいく。
「「うああああああああ!?」」
そんなふうに壁の向こうに消えていく。
「これって……」
まさかこの壁……そんなふうに思ってると――
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」
――なんとすぐに二人が今度は壁の向こうからふっとばされてきた。そして一拍後に月人が壁からぬるっと出てきた。
「幻影? 幻影の壁がある!!」
俺はそう叫んでテア・レス・テレスの面々にもそれを伝えた。なにせ情報共有ってのは多数のチームで戦うときには大切なことだから。
「お、ねえちゃん……お姉ちゃん!」
そしてそんな声が聞こえてきた。