2305 前に進むためのXの問い編 680
里の男の子視点です。
「おねえちゃん……だ、誰か……」
目が覚めると、シーンとしてた。太鼓の音は鳴ってたけど、それだけで、ほかの誰かの声はなくなってた。だから不安が押し寄せる。少しの間、その場で待ってた。お姉ちゃんの事を呼びながら……壁の絵の所に近づいてお兄ちゃんたちが触った玉を見る。お姉ちゃんたちが入ってから、あの絵と一つになってる球は黒ずんでたような気がする。けど今はまた綺麗な白い色になってる。
「絶対にあれには触ったらダメだよ」
そんな事をお姉ちゃんは言ってた。だからあれには触れないようにした。気にはなったけど、あれに触れたらみんな消えたから、自分でも下手に触れたらダメだってわかる。それに……
前よりも太鼓の音の感覚が長くなってる気がした。お姉ちゃん達は居なくなってしまった。あの玉の中にいる化け物にやられてしまったのかもしれない。
「僕だけじゃ……」
いや、そんな事言ってる場合じゃない。お姉ちゃん達はもういないんだ。それに……僕は自分の体にかけてある布を見る。不思議な感触のひんやりとした布。それに、とても軽い。それは僕の力でも全く重さを感じない。自分をすっぽりと覆う程の布だと普通は重く感じたりするけど、これならきっと……
僕は奥の通路にいった。布をかぶって通路に頭を出す。ひんやりとした空気が布から出てる頬を撫でた。そのせいで背中がぞくっとする。流石にこんな奥まで村の人たちは整備なんてしてなかったようで、暗い。けど、僅かだけど、壁自体が光ってるのかほんのりとは見える。多分今いる部屋と同じようなもので作ってあるんだと思う。けどきっと今いる部屋はとても重要なところだから沢山光るようになってるんだ。そして通路はそうでもないからちょっとしか光ってない。
けど真っ暗じゃないだけまだましかも……
「……よし!」
意を決して僕は通路にでる。何もいないでくれ……と思いながら、僕は通路を進んだ。
しばらく進むと、ドシドシという音が聞こえてきた。一回階段を上ったのがまずかったかも……けど上の方から太鼓の音は聞こえたから仕方ない。幸いなことに奥でもこの遺跡にはトラップとかはないらしい。そんなのがあったら今頃僕は……とりあえず近づいてくるように聞こえる足音を警戒してその場にしゃがみこんで布をしっかりと被る。
通路の角……そこに影が映る。今いる通路よりも、角の先の方が明るいから、壁に大きな影が映った。
「んんー!?」
化け物……まさに化け物だ。遺跡から出てきた奴も化け物だったけど、あれは……さらに怖い。体が震える……僕は急いで上った階段をもどっていった。