2300 前に進むためのXの問い編 675
「それでどうしますか? どっちについていきます?」
そういう彼女……LROでの最大チームでその代表をしてるその少女は『会長』と呼ばれてる。皆でそろえた制服……いや、さっきまでヴァレル・ワンを運転してた人たちはそれこそレーシングスーツみたいなの着てたし、今もちょくちょく完全に同じってわけじゃない。けど、どこか統一感があるから、きっと会長たちの中では一つの制服となってるそれで一体感を高めてる彼女たちは『テア・レス・テレス』だ。まさかテア・レス・テレスが手を貸してくれるなんて思ってもなかった。それも……会長自ら関わってくる? 実際、これだけデカいチームの頂点にいるような、そんな人なんて俺たちのようにプレイをしてるのかすら、まったくわからない。
そんな存在だったわけだ。けど……まるで学校の制服のような黒い服に身を包んだ彼女は……いや、本当にただの学生に見える。もっと近寄り難く、なんか偉そう……とかおもってた。まあ彼女の評判は全然そんな感じではなかったんだけど、でもやっぱり人間、自身の目で見たものしか信じれないじゃないか。
でも、今のところ俺たちの会長への好感度はとても高くなってる。なにせめっちゃ協力的なんだ。はっきりいって至れり尽くせり――といっていいくらいの事をしてもらってる。今の状況なら俺たち――要る? ――って感じだ。多分任せたとしても彼らは間違いなく目的を果たしてくれる。それだけの信頼がある。
なにせやっぱりだけど、そこらのチームとは違う。今日初めて俺たちは会長というプレイヤーに出会った訳だけど……この短い時間でも俺たちは彼女を好いてるし、関心を持ってるといっていい。俺たちでこれなのだ。もっと長く接してきてるであろうテア・レス・テレスの人たちはそれはそれは統率がとれてる。彼女、会長の指示に迷いなくついていってる。でもだからって軍隊のような硬さ……があるわけでもない。一糸乱れぬ……とかいうひりついた感じじゃないのだ。
そんなんじゃない。いうなれば、仲良し……だ。そう彼らは皆が仲が良いからこそ生まれる柔らかい雰囲気で団結してる。そしてそこには絶対的なトップである会長がいる。でもそんな絶対的なトップであるはずの会長にだって誰だってフレンドリーだ。気負いがない。不思議だった。一番気負ってるのはむしろ俺たちだろう。
あの……だ。あの、テア・レス・テレスのトップである会長を前にしてるという緊張……俺は仲間たちを見る。どっち……つまりそれはボス戦をするか、この太鼓の音の方の捜索隊に加わるか……ってことだ。視線を交差させた俺たちは、みんなでうなづいた。実はここにつく前にその相談は終ってたんだ。
「俺たちはこの音の出所に行きます!」
「わかりました。ならそっちの隊長にその旨を伝えますね」
そういってくれた会長。彼女よりも大きなそのプレイヤーがきっと今回の遺跡捜索の隊長なんだろう。とても強そうだ。けど、とても柔らかい雰囲気をしてる。てか会長と話すのがとても楽しい……というようなそんな表情だ。大所帯のチームなんてわずらわしさがある――と思って気が合う仲間たちとだけやってきたが、どうやらテア・レス・テレスはそうじゃないのかもしれない。