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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2297 前に進むためのXの問い編 672

「けど!」

「だって!!」


 そんな風にクリスタルの前で言い合う俺たち。確実に周囲に迷惑をかけてるだろうが、そんなのかまってられない。いや、俺はちょっと恥ずかしい。なにせ一番言い合ってるのはセインとユズなのだ。セインはショタを助けに行きたい。それは絶対に譲れない。けどユズはショタの所までいくと、絶対にその先に行かなくちゃいけなくなるから、もう諦めようっていってる。一見ユズは残酷だ。けど……俺たちには攻略できない以上しかたない。それにここは限りなく第二の世界を構築してるが、けどそれでもゲームなんだ。そして俺たちはプレイヤーで……だからこそNPCだと言い聞かせれば、見捨てることが出来ないことはない。

 それにまだショタには出会ったばっかりだ。そこまで深い仲になってるわけでもない。ただ成り行きで知り合って、巻き込まれただけ……といえる。どっかの鍛冶屋の親父とか、宿屋の看板娘みたいに、何回もかかわって親交も深めてるような……そんな仲にまでなってると、NPCとわかってても流石に何もせずに見捨てる……なんて良心的に出来ないと思う。

 でもまだショタはそこまでではない。それにセインが助けたいといってるのは完全に自己中心的な理由でしかない。とにかく俺たちの良心に訴えるように「あんな所にあんな子供を置いておいていいの!?」――とかいってる。確かにそれはそうだ。うぐっ――と皆心に刺さってるだろう。LROのNPCは本当に生きてるようなんだ。だからこそ、あの子供を俺たちだって生きてるように感じてる。

 けどそれでもこれはゲームでデスペナルティは結構重い。だからこそ俺たちは必死にこれはゲームだって言い聞かせて自分を納得させようとしてる。


「それなら!」


 俺は声を張り上げた。それによって言い合ってたセインとユズが俺に向く。俺はこっちを向く二人に向かってこういった。


「それなら……ネット上に情報を公開しよう。それなら、きっと大手のチームが動いてくれるかもしれない。それか腕に自信のあるやつとか……沢山の人があそこに行けば、攻略できる可能性だって増えるし、月の石の場所まで一気にいけるんだ。それならって大手はいるはずだ」

「でも、それで公開して、どれだけかかるの? 今すぐなんて大手程無理でしょ。私たちの知り合いに声かけるにしても、集まるまで待ってる間にきっとあの子は……」


 そんな風にセインは苦しい表情をする。確かに間に合うかなんてわかんない。確率だって低いだろう。けど……これしかない。俺たちだけで向かったって事態は好転なんてしない。それはセインだってわかってるはずだ。

 そんな風に俺たちが話し合ってると、「あのー」と声をかけられた。流石に迷惑すぎたから注意されるか? とか思った。それなら一気にここにいる人たちに頼むのも手だ。そう思って振り返る。俺は声ををかけてきた人を禄に水もせずに頭を下げてこういった。


「すみません。実はとても困ってて、この先の隠れ里で月の遺跡があったんです! 月人達があふれ出して、里の人たちがピンチなんです。俺たちだけではどうにもできません! どうか協力してくれませんか!!」


 一気にまくし立てた。そんなのいきなり言われたって「はあ?」だろう。俺だってそうなる。けどその人は違った。頭を下げる俺にその人はこういってくる。


「わかりました。任せてください」


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