2288 前に進む為のxの問い編 663
「大丈夫!? 今回復してあげるからね!」
「だ……ダメ……大丈夫……だから」
セインが苦しみだしたショタを見て、焦って詠唱を始めようとしてた。けど苦しみながらも、ショタはそれを制する。そんなショタをみて「……うん」とかなんかキュンとなってるセイン。お前な……と言いたい。
けど実際、いきなり苦しみだしたら焦るのは当然だろう。ショタは苦しそうだ。それに……なんか肌がどんどんと赤くなってるような? 実際熱があって体が赤くなる……とかリアルではない。ありえない。けどここはLROだ。そういうわかりやすい表現? をするかも。それに……
「あつい……」
なんかショタから熱が発せられてる? 周囲にまで感じられる熱気って奴が伝わってきてる。空気を伝わってくるその熱気……「スーハースーハー」してる奴がなんかいる。もちろんセインである。見た目は本当にLROなこともあって、理想的な優しそうなお姉さんの見た目してるのに……やってることが残念過ぎる。まあそれでもあのショタの前ではちゃんとするんだろう。きっとショタからの印象はいい感じで保っておきたいはずだろうし。
「はあはあ……」
血管が浮き出て、ショタから白い湯気が出てる。けど落ち着いたらしいショタは歩き出した。ゆっくりだけど、その足取りは確かなものだ。
「あうあ、あわわ――」
セインが何やら手を出しそうだったから、肩を掴んでとめる。大丈夫だ。そう感じる。そしてショタは井戸に乗せられてる岩にしがみつく。大きく両手を広げて、周りをがっちりとつかむようにする。けどそれでも……その岩の半分も実はつかめてない。いやいやどれだけ大きいんだよって思うかもしれないが、実際めっちゃデカい。だって井戸よりもデカい。普通はそれこそ漬物石くらいのサイズだろう。外だし、勝手に上にのせてる板が飛んでいかないように――と重しの為にもある程度の岩を置くのはわかる。けどそれはある程度だ。あれは明らかにやりすぎた。もう二度と開かせない……みたいな意思が見えるくらいである。
もしかしたら彼らのような子供が遊び半分で井戸で遊んでて、その中に落ちて死亡……なんて事故があったのかもしれない。だから二度同じ事が起きないようにあれだけ頭おかしい岩を置いた。そしてそれだけじゃなく、俺たちのような部外者は触れもしないようにした。本当なら、いくらスキルとかがあるといっても、俺たちプレイヤーにはあれをどうにかする術はなかったはずだ。そして、このショタにだって……普通に考えて子供がどうにかできるサイズではない。そもそも大人でも一人では絶対に運べないサイズだ。普通は無理、無茶、無謀……その三拍子が思い浮かぶ。でもこのショタは挑戦してる。
これをやらないと自分の妹を助けることが出来ないから……と思って、その体に鞭をうってる。実際何をしたのか……何やら飲んでたけど……やばい薬だろうか?
「うぐ……あっ……ぎっ……んんんんんんんんんんん!!」
ショタは頑張ってる。力の限りを出してる。その証拠に彼の肌はさらに赤く……そしてその湯気は彼の姿がかすむほど出てる。そしてわずかに岩が動いたのが見えた。さらに次の瞬間、わずかにだが、確かに彼はこの大岩を持ち上げた。