2287 前に進む為のxの問い編 662
「えっと……君だけじゃ流石にこれを移動なんて……できないよな? この井戸の中に遺跡に通じてる通路があるんだろ?」
その俺の言葉にショタはコクリとうなづいた。やっぱり……とおもう。てか簡単な考察だ。この状況でこんな枯れ井戸に来る理由を考えたら簡単に至る考え。だから誇ることでもなんでもない。
「頑張るから! 俺がこれをのけたら、妹を助けにいってくれますか!?」
そういうショタ。けど……あの太鼓の音を鳴らしてるのがこのショタの妹……とは限らない。寧ろ確率的には低いだろう。でも、俺たちが行かなくてもこのショタはきっと行く。それだけの覚悟がある。
下手に暴力を振るって意識を刈り取ろうとしても、きっとセインが邪魔するだろうし……そんなことを思ってると、ベズの奴が先に言葉を紡いだ。
「ああ、けどそれを移動させることが出来なかったらここから離れる……いいな?」
「それは仕方ないから……」
そんな事を言わせつつ、ベズは俺の方にこそッといってくる。
「これで気兼ねなくここから離れることができるだろ」
そういってくるベズはあのショタではあのデカい岩を移動は出来ない……と思ってるって事だろう。実際ショタはかなり細い。ショタらしく華奢なのだ。けどガリガリって訳じゃない。子供って感じだ。そこら辺もきっとセインには刺さってるんだろう。でも確かにあの細さではあのデカい岩を移動できるとは思えない。
それならショタも納得するしかないから、確かにここから連れ去る口実としては一番だ。俺たちも恨まれることはないし、嫌な気持ちになることはない。まあショタは後悔するだろうが……実際遺跡に安全に入れたとしても、そして色々と運が良くてあの太鼓の音の発生源にたどり着けたとしても、そこにこのショタの妹かいるとは限らないのだ。
確かに助けを求める人はいるのだろう。けど……今の俺たちではかなり厳しいと言わざる得ないからな。
そんな事を思ってると、なんかセインがショタを見ながら「なんですかそれ?」とか言ってる。けどそれにショタは反応しない。ただ一飲み……それをした。ゴクン――とショタのまだ喉仏もない喉が動いた。
(何かを飲んだ?)
そんな事を思った。すると突如ショタが苦しみだした。