2283 前に進むためのXの問い編 658
「お願いします……妹を……助けてください……」
あんまり声を張り上げることが出来ないから、その子はささやくように……けど震える声は必死さを物語ってた。それから「お願いします」と床に膝をついて……そして体を丸めて頭を床につける。それはまさに土下座。彼からは俺たちが了承するまでそれをやめない――という気概を感じる。パーティーの視線が俺に集まる。
(いやいやいや、俺に言えって?)
(お前がリーダーだ)
(うん、リーダーお願い!)
(リーダー……)
(リーダー……)
こいつら……である。いや、わかる。確かに俺はリーダーだ。明確にリーダーとかを決めてるかといえばそんなことはないが、けどなんか俺が中心になってるし、自然と皆は俺をリーダーと呼ぶ。そして俺だってそれを受け入れてる。だから俺はリーダーなのだ。そしてリーダーは一番面倒な事をやる役だ。みんなが俺を見るのは無理はない。こんなのは誰だって言いたくない。こんな小さな子に……ダメだと……無理だという……それがどれだけ心に来るか。言われたこの子だってそうだけど……いう俺たちだってダメージを負うのは確実だ。だからこそ気が重い。
(この子はきっと納得なんてしないぞ)
(それはそうだろうな)
(けど、この子の妹きっともう……)
俺たちはちゃっかりウインドウでのチャットを使ってる。ウインドウはNPCには見えないからな。それにLROの文字打つ機能は勿論だけど仮想キーボードを表示してカタカタとやることもできるが、視線で文字を選んで打つこともできる。やっぱり手を使うとかになったら、戦闘中は厳しいし、案外視線で文字を打つのも精度がいいからなかなかに使える。
(そんなのはみんなわかってるだろ? だから言いたくないんだし……こうなったら……考えてたんだけど物理的に気絶させるってのはどうだ?)
俺は考えてた案を発表してみた。すると……
(うわっ……)
(私のショタに乱暴な事しないで)
一つ言いたいのは絶対にお前のじゃないってことだよセイン。なんか女性陣に猛烈に批判された。まあ一人は無視していいけど。なにせ頭おかしい事言ってるしな。そんな事言いあって、どうするか……としてると、なんかドコドンドコ――と太鼓の音? みたいなのが聞こえてたきた。