2279 前に進むためのXの問い編 654
「た……たすけ……」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ノッスノッスと歩いて子供に向かってた月人。間に合ったのはただたんに、そいつが月人の中でも筋肉に振ってたおかげで普通の月人よりは動きが緩慢だったから。その御蔭で俺の盾が月人の拳を受け止める事ができた。
(重い……)
パワータイプの月人が子供よりも食いごたえがありそうな俺を見て「ギャギャ」となんか笑ってる。
「おじちゃ……」
「お兄さんな!」
おじちゃんなんてのはまだ早い。うん……まだ早いはずだ。俺はまだ「おじちゃん」なんて歳ではない。俺は訂正しつつ、目の前の月人と相まみえる。俺たちはどっちも正面からやりあってる。俺は盾で月人の攻撃を防いでるが、月人はその筋肉で俺の攻撃を防いでた。
「くっ……スキルが使えないせいで攻撃力が足りない」
そうなのだ。これまで月人とやり合ってきた影響……それがまたでてる。また……というのは、一度この里を離脱した時に確認したときにはスキルは復活してたんだ。だから一度離れればリセットされる――と思ってた。けどどうやら月人達と離れることでその特性から逃れる事はできる。けどそれは逃れただけ……ってだけだったようだ。その影響は蓄積型だったと言うこと。いや、そもそもがそれはわかってた。
なにせ月人の相手をしてると段々とスキルは封じられていく。それが蓄積されてた。でも一旦離れてもこうなるとは。いやもしかしたら一回ログアウトとかしたら違ったのかもしれない。この蓄積だって何日も残るもの……とは思えない。けどちょっとの間では無理だったってだけ。
スキルがないと、盾を装備してるタンクの俺ではこの筋肉の塊のような月人に攻撃を通すのが難しい。一応攻撃は通ってる。攻撃は俺の方が当ててはいるんだ。
なにせ俺は堅実――というのが取り柄の戦いをする。盾で受けて、その隙に普通よりもこぶりな剣で攻撃を行う。ときには盾を使って体当りしたりする……まさに盾の役割が俺の戦い方だ。もともとが攻撃的な戦い方じゃない。俺は耐えて耐えて、その隙に仲間にダメージソースをまかせるのが俺のやり方だ。
だったら仲間たちはどうしたのか? というと、なにせ再び溢れてる月人達の相手で精一杯なのだ。みんな他の月人の相手をしてる。つまりは既にもう大ピンチってことだ。