2277 前に進むためのXの問い編 652
「居たわ!」
「良かった。皆無事みたいだな」
俺たちはあれから隠れ里を離れて、生き残りの人たちに追いつくために頑張って走った。戦闘の後だけど、全力疾走を続けざまに出来るのは、LRO様々といったところだ。
リアルならそれこそちょっと全力疾走をするだけで肺が爆発しそうになるし、脚はすぐに棒のようになるだろう。けどここならいくら動いても大丈夫なんだから楽しくなるというもの。
スキル次第だが、それこそ目にも止まらぬ速さを手に入れることだって出来る。速さだけじゃないジャップ力とか身軽さとかもそうだ。どういう風な動きをしたいか……それによってスキルのビルドだって変わってくる。
自分の理想を追い求める事ができる。まあそんなことを考えなくても、これ楽しい!! だけでも全然いい。
「大丈夫ですか?」
「ああ、すみません。すみません」
なにやらそんな風に謝られる俺たち。どういうことだ? もしかしたら敵とか思われたか? 実際女性陣が彼らを誘導しただろうから、俺たちとはそんな面識ないしな。
「えっと……」
「大丈夫です。こいつは私達のチームのリーダーなんです」
「ああ、そうですか。それで里は……他に誰かは……」
なんとかセインの言葉で俺たちのことを信じてくれたらしい女性。けど俺たちだけなのを見て何かを察したのか、そのお姉さんは顔を伏せた。この里の人達は古来の日本のような服装をしてた。なので彼女も着物である。幸薄そうな、色白な美人さんだ。そんな人が伏せ目がちになると、なんか絵になる。俺ははっきり言って、こんな幸薄そうな女性が好みだった。
「まー姉」
「ん? どうしたの?」
「すみません。どうやら一人居ないようで」
「ええ? そんな……森ではぐれたのでしょうか?」
「いえ、子供達に聞いたところ里に戻ったのかも……」
そのやり取りを見てた俺たち。まずは子供の一人がまー姉と言われた幸薄そうな美人さんに話しかけてた。そこに大人の人が状況を説明してくれたって構図である。
けどそんな事は問題じゃない。問題は一人の子供が里に戻ったかもしれない……ということだ。
「でも、私達すれ違わなかったよ?」
確かに。ここは森だけど、一応良く使う道はちょっと整地されてる。けどその道ではすれ違う事はなかった。でも子供だ。それに里の子供なら、近くの森なんて遊び場だろう。つまりはきっと子供だけが知ってるルートとかがあってもおかしくない。
「俺たち戻ります。必ずその子を無事に連れてきます!」
そういって俺たちはトンポ帰りすることになった。