2271 前に進むためのXの問い編 646
「なんで……」
私は信じられない。だって私の時は倒れなかったじゃん! もっと気合を見せなさいよ!! 私はそんな理不尽な思いを募らせる。残りの月人は一体。私はそいつを応援する。
「いけー、そんなヤツやっちゃえ!」
――とね。だってこのままあんな簡単に……そして格好良く月人を倒されると私の立場ってものが無いじゃん。まあ私達三人だけしかいない場所だけど……いや、実際もう一人、メカブちゃんだって別にここに来れる。その資格はある。
なにせここには三人でたどり着いたからだ。でもメカブちゃんは最初の一回以降、ここにくることはない。多分だけど、ゲートを使えばメカブちゃんだって来れるはずだけど……きっと巻き込まれたくないんだろう。
てか……自分だけ先に一抜けてるのだ。ゆるせない。
「ちゃんと見ててください。これはヒントなんですから」
月人を応援してる私にそんなことをいってくる妖精王。ちゃんと見てなさいとか、先生か? いやセクハラ……まあ見てるけど。あいも変わらずに妖精王は月のステップを踏ん出る。それで完璧に避けるのは流石に一朝一夕でできることじゃない。だからここはスルーだ。
私が気になるのはもっと別の……それこそ攻撃面だ。私の使うスキルと、妖精王が使うスキルは偶然だけど似通ってる。なのに……だ。なのに威力が違う。まあ装備品とか違うからそこらへんで底上げをしてるのかもしれない。
なにせ普通はスキルの威力って同じはず。あとは武器の性能とか、他のスキルとかの兼ね合いとか、そんなので色々と変わってくる。あとは熟練度とか、理解度? 旨く使えば使えるほどに……というやつである。
でも私だって月のスキルをメインにしてるのだ。下手に使ってるなんて思ってない。けど……実際目の前でその差を見せつけられてる。
そして次に披露したのは第二節。それによって、月人はきえていく。おいおい……だよ。てかそもそもが攻撃力だって……ね。私は拭きを持ってた。けど妖精王は徒手空拳。絶対におかしい。
「一体何したの?」
「考えましたか?」
まさか質問を質問で返してくるとは……それはいけないこと……とか言おうとしたけど、なんか妖精王の視線が痛かったからできなかった。だってただ感情で言っただけだったからだ。すると妖精王は一つため息をはいた。
まるで馬鹿にされたみたいである。
「ここは月なんですよ」
「知ってるよ」
バカにすんな。
「ならもっと月を感じなさい。それをできれば、スキルは応えてくれる」
何を言ってるんだこいつ? 私は普通にそう思った。