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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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魚には成れない

 泉から飛び出してきた狼共。だけどそのおかげで道が見つかったわけでもある。感謝なんてしないけど、取りあえずぶっ殺してあげよう。そして僕達は、あの一番奥の泉を目指す。

 だけどそこに辿り着いて僕は気付くんだ。

「あれ? 僕って泳げたっけ?」


 五つの泉の内、四つから飛び出してきたモンスター共。もう来たかって感じは勿論あるけど、けどそれよりも僕はたった一つだけ波紋を広げてない泉が気になる。

 白い鍾乳石が周りを包むこの場所で、緑色した泉がその色を強調してる。


「たく、しつこいわね! 本当に飼い主に似ていけ好かない奴らだわ!」


 そう言ってミセス・アンダーソンが十字架を構える。だけどそれよりも早く僕は動いたよ。嵐の影響を受けないこの場所でなら、十分僕だけでやれるさ!

 まあ、イクシードは切っちゃってるけど、ヒットアンドアウェイ戦法で行く。それよりも――だ。


「アンダーソンは、クリエ達をあの奥の泉へ頼む! あれがきっと反対側へ続いてる筈だ! 反対側じゃなくても、きっと僕達が入った入り口からは一番遠い!!」

「なんでそんな事が分かるのよ?」


 僕の言葉にミセス・アンダーソンは訝しげにそう返した。なんでって考えればそうなる筈だけど。


「そいつ等は僕達を追ってた訳なんだぞ。僕達が入り口を壊したから、違う所を探した。そして見つけた場所からなだれ込んでる筈だろ!

 わざわざ遠い所を選ぶ理由なんてこいつらには無いんだからな! ようはこいつらが出てない泉こそが、一番遠い所に出入り口があるって事だろ!」


 雷撃が地面を走る。それは密集してたモンスター共に連鎖して爆発を起こさせた。アイツ等今、濡れてるから雷撃系の技が良く通る。それにどうやら、起爆のスイッチ代わりにも成るようだ。

 もっと上手に飛ばせれば、近づかなくてもやれるかも……


「スオウ案外頭いいね!」

「そこの失礼なクソガキ連れて、二人は僕の後に続いてください!」


 案外ってなんだよ案外って。まあ別に、僕は普通だからそこまで気にしちゃいないけど、ちょっとムッときたんだ。

 僕の言葉に、クリエは「なによなによ!」と憤慨して暴れてるけど、シスターに脇から抱えられて一番奥の泉を目指して移動開始だ。いびつな縦長空間に、それぞれの泉が間をあけて点在してる形だから、あそこまで行くにはモンスター共をけちらすしかない。

 まあだけど、問題ないな! 


「いけるの? 一人で?」

「まあ大丈夫だとは思いますよ。心配なら、十字架で下方支援でもお願いします」


 僕とアンダーソンはそんな会話をして頷きあう。そして一気に飛び出した。ここでグダグダやってても、モンスター共が増えるだけだからな。一気に駆け抜けて泉に飛び込んだ方がいいだろう。

 てな訳で、走り出した僕に向かって来る数体の狼共。まずは雷撃を一陣放つ。それは正面の奴に当たり爆発。だけど同三体には被害無い様子。そのまま向かって来る。

 僕は更に加速してその距離を一気に詰めて、まずは左側ニ体をすれ違い様に一撃入れる。それで十分。奴らはただの一撃で爆発する。

 そしてそれが怖いのは、足を止めてそこに止まるからだ。僕はその勢いのままに、爆発を回避して残り一体に雷撃を向ける。これで終了……な訳じゃない。


 まだそれぞれの泉からは、モンスター共が出てきてる。

でもそんな驚異って数じゃないから、僕達は一番奥の泉を取りあえず目指す。

 一応真っ先に襲ってくる奴を優先的に潰しながら、泉に到着。するとここで気になる問題に気付いてしまった。


「あれ? よくよく考えたら僕って泳げるんだっけ?」


 いや、確か普通に泳ぐ事は出来る……筈だよな。スキルはあくまでそんな泳ぎの補助の筈。早く泳げたり、息継ぎとかしなくて良くなったりとかだと聞いた。

 アギト曰く、流れが速かったりしてもダメらしいけど、ここは流れとか無いし、いける筈だ。


「泳げないのスオウ?」


 そう言ったクリエが僕に手を差し伸べる。


「どういう事だよ……」

「クリエが引いてあげるよって事」


 弾ける笑みを見せるクリエだけど、そんな屈辱的な事が出来るかよ。なんかバカにされてる気がするし。これは僕のスペックの問題じゃなくて、LROというシステムの問題なんだよ。

 僕はリアルじゃ基本泳げるからな。僕はクリエの手を取らずにこういう。


「いいからさっさと行け。まだモンスター共は迫ってるんだからな」


 後ろでは次々と泉からモンスターが沸いてきてる。泳げないかもとか言ってる場合じゃないんだ。そもそもここを抜けないとどっち道終わりだし、不安なんて気合いで乗り越える!


「大丈夫! もしもスオウが溺れたらクリエが助けてあげるからね」

「大丈夫です。私もこの子と頑張ってみます」


 ようやく向こうからシスターが話しかけてくれた。クリエに便乗しての形だけど、まあクリエだけよりは安心出来るよ。そもそも助けて貰う気は無いんだけどな。

 でも水の中は、不慣れだから念には念を入れといた方がいいのかも。


「わかったよ。もしもの時は頼むよ。だから早く行け!」

「うん!」

「それではお先に」


 二人が泉へと飛び込む。そして僕とミセス・アンダーソンは一斉にありったけの威力を込めて、モンスター共に攻撃を打ち込んだ。僕は雷撃、アンダーソンは十字架を大量にだ。

 それで牽制して置いて、僕達も今の内に泉へと飛び込む。


(おわ! 服が張り付く――ってか重! 防具も武器も重!!)


 そう言えば前に湖に落ちた時も沈んでた様な……服を着たまま水に入るのが危険だと悟ったよ。いや、まだ服だけならいいんだけど、防具と武器はやばい。その重量がのし掛かる様なリアルな重みしてるよ。

 さすがLRO、こんな水の中まで完璧に再現してる訳だ。だからこそアギトの奴が、極力水には入るなって言ってたんだな。


(だけど……こんな所で!!)


 僕は必死に手足を動かす。だけど殆ど思うように進まない。やっぱり重量過多か……激しく動いてるせいで息も既に苦しく成ってきたし……これは流石に不味い。

 てかこの穴、どこまで続いてるんだよ。結構先に、クリエ達が見えてるけど、そこまでも行けるかどうか……ヤバい心が折れそうだ。

 どんな時だって諦めずに頑張って来たのに、こんな所で……人体の限界に僕の心は折れかけてるよ。だって自分の力じゃどうしようもないっていうかなんと言うか……すると後ろの方でドバンドバンと響く音。

 ヤバい、きっとモンスター共が入って来たんだ。するとチョンチョンと肩を叩かれる感覚が。横を見てみると、ミセス・アンダーソンがなんかジェスチャーやってる。

 何々?


「これ(十字架)でアンタ(僕)を、押して(ぶっ飛ばして)上げる」


 成る程、一応こんな感じだろう――って、何だって!? 僕は一応抵抗を試みるけど、水の中じゃどうやったって僕は最弱だった。ガバガバと暴れる事しか出来ない。

 そしてそんな事をやってる間にも、ミセス・アンダーソンは僕の背後へ回ってしまう。そして背後で光が起きて、背中にゴツッとしたイヤな感覚が当たったと思ったら、次の瞬間ものスゴい勢いで僕は前方へ押され出す。


「んがががぼぼげらあああああああああああああ!!」


 空気が……命を繋ぐ空気が肺から大量に放出されていく! 意識さえも遠ざかるぞこれ! てか、水圧が半端ない。いや、死ぬってこれは! 文句を言いたくても言えない事が歯がゆい。

 意識が遠ざかる中、次第に水圧が勢いを無くしてく。どうやら出口に着いたらしい。上方から光が見える。でも、何だろう……天からの導きの様にも感じるな。

 既に僕は自分で泳ぐ事が出来ないよ。


「ん?」


 僕は一切体を動かしてないのに何故か上へと上ってく。何で? って思って顔を上げると、そこには三人の小さな姿があった。

 それぞれが僕の体を引っ張ってくれてるみたいだ。クリエが手を引っ張って、シスターは背中かな……アンダーソンが腹の所を持ち上げてる感じ。


(はは……まさか本当に助けて貰う事に成るなんて……)


 てか、良くあのスピードに付いて来れた物だ。幾ら速く泳いでも流石に追いつけるとは思えないけど……ミセス・アンダーソンなんて特に、一番離れててもおかしくない筈では?

 クリエ達だって途中で追い抜いた筈……あれかな、十字架に掴まってたのかな? そんな考察を、朦朧とする意識の中してた。次第に光へと近づいていく僕達。そして


「「「ぷはぁ!」」」


 と同時にみんなで顔を出した。


「ごほっがっはっ――」

「大丈夫スオウ? クリエ達がいなかったら死んでたよきっと」


 認めたくはないけど……確かにきっとその通りだったろうな。クリエ達がいなかったらこのただの道でジ・エンドだったよ。だから僕はクリエの頭にポンと手を置いて感謝を述べてやる。


「だな……今回はまあ、助かった。ありがとうな」

「うんうん、どういたしまして!」


 満足気にそう言うクリエは、なんか楽しんでたみたいだな。てか、空気がこんなに美味しいとは知らなかった。使いきった後だから、新鮮な空気がそう感じる。僕達は取り合えず泉から上がることに。

 元からびしょ濡れだったけど、再三にわたってまたびしょ濡れだ。


「寒……」


 流石に体が芯から冷えてくるな。ただでさえ鍾乳洞って気温が低いから尚更だ。うう……早く出たくなってきた。この箱庭そのものからな。

 どうせ外に出たって土砂降りで嵐なだけだし、それなら箱庭事態から早々と脱出したい。


「ああ、そうだ。ミセス・アンダーソンもシスターさんもさっきはありがとうございます」


 そう言って僕は頭を下げる。一応感謝とお礼はちゃんと口に出さなきゃね。


「別にいいわよあの位。それに貴方に死なれると困りますからね」


 ミセス・アンダーソンはそう言って通路の先へ視線を送る。だけどシスターの様子がちょっとおかしい? まあ僕に対してはいつもモジモジと言うか、よそよそしい訳だからいつも通りっていったら、そうなんだけど……


「あの……良いですから。それよりもあんまりこっちを見ないで……」


 見ないでって……相当嫌われた? そんな……クリエの近くに居る者通し、聞きたい事が沢山あるのに、ここで嫌われるのは不味いかも。


「見ないでって、そんなに迷惑でしたか? すみません」


 僕は真剣に謝る。だけどなんだかちょっと違うご様子。僕が頭を下げて、彼女は逆に困った様子になってる。


「ち、違うんです……そうじゃなくて……あの見ないでっていうのはですね……その……恥ずかしいから……」


 消え入りそうな声でそう呟くシスターさん。恥ずかしい? 何のこっちゃ? と僕は首を傾げるよ。そしてマジマジと逆に見てしまう。


(あ、もしかして……)


 すると気付いたかもしれない。あれだな、服が張り付いてるからかな? 別に全然欲情とかしないけどさ。モブリってとこがネックだよね。

 いまここにシルクちゃんとかが居れば、そのやばさに瞬時に気付く事が出来るんだろうけど……ごめん、モブリの体じゃなんも感じないよ。

 てか寧ろ、黒い服のシスターよりも白い宗道服のクリエの方が気にした方が良いことでは? とも思ったけど、いかんせん奴はガキだった。

 そんな事、気にも止めてないよ。


「あ、あのぅ~」


 僕がやけに目を離さないから、顔を真っ赤にしながらシスターさんが泣きそうな声を出す。うお、しまった! これは変な誤解を与えたかも知れない。

 違うんだ。僕は決してそう言う視線を向けてた訳じゃない!


「ええっと……大丈夫! 全然僕は気にしないから!」

「は……はぅ」


 僕がナイススマイルで言ったはずの言葉で、何故かシスターは更に涙目に。不味い、ドジにドジを重ねたみたいだ。くっそ、これがミセス・アンダーソンなら


「そんな年食った体に興味ねーよ!」


 位言えるんだけど、流石にそれはシスターさんに悪いよね。それにそんな冗談を言える間柄でも無いし……かと言ってズバリ「モブリの体に興味なんてないから!」って言うのもある意味失礼かなって……うん、答えはないな。

 てか、男って女の人に一杯気を使うよね。男尊女卑とかもう今の時代ないよね。


「スオウ――」

「うお! なんだよクリエ? てか離れろ」

「スオウが寒いって言ってたから、暖めて上げようと思って。クリエの温もりを分けて上げるよ!」


 シスターの対応に困ってたらいきなりクリエが抱きついて来て、そんな事を言った。まあ確かに寒いとは言ったけど……


「おまえだってびしょ濡れ何だから、何だかペチョッてして気持ち悪い。ついでにお前の暖かさなんて感じな――」

「あれれ? シスターどうしたの? 何故に無言でクリエを抱えちゃうの?」


 クリエの言うとおり、彼女は静かにクリエを僕から離す。無言なのはクリエも言ったとおりだけどさ……僕の事をさらには睨んでるっぽいんだけど。

 何その……女の敵みたいな目は。


「たく、死にかけといて早速シスターやクリューエル様のピチピチした肌に反応するとは……とんだ卑猥な雄ね」

「どんな反応もしてねーよ!」


 おかしな目で見るなっての。モブリはこの世界の種族の中じゃ、一番欲情出来ないわ!! そこは男として断固に宣言してやる。


「何々? どういう事なの~?」

「クリエは……まだ知らなくて良いことです」


 頭に一杯疑問符を並べるクリエに、シスターはそう言った。そしてそのまま背中を向ける。え~もう、どうすれば良かったんだよ。

 僕は色々と案を頭に浮かべてると、横でアンダーソンが何やらやってる。なんか僕の方をチラチラと見て、変なポーズを決めてる様な……


「何やってんだおばさん?」

「の・う・さ・つ?」


 ウインクを飛ばされた瞬間に、猛烈な吐き気が!!


「うげええええええええええ!!」

「アンタね、ちょっとは私にも遠慮ってものをしなさいよ!!」


 憤慨するアンダーソンには悪いけど、それは超無理。てか今のはどんな拷問だよ。一瞬にして心が折れ掛けたよ。怒りたいのは寧ろこっちっつーか、謝れよと言いたい。


「ふ……ふん、アンタが私の魅力に気付くのには、後十年は掛かりそうね」


 超ポジティブにそんな事をアンダーソンは言ってる。


「十年経ったらおばさんじゃなく、お婆さんになってるだろうな」


 そんな熟女好きには成りたくない。だから一生その魅力とやらには気付きたくないや。


「アンタってとことん失礼ね。私が居るから脱出出来るのよ! そこの所、忘れないで頂戴」

「ふ~ん、ご立派なアンダーソン様は、迷える子羊を助けて上・げ・て、回ってるんだ?」


 押し売りでもしてるんだろうか? それなら止めた方が僕は良いと思う。


「何よその言い方? 確かにちょっと語弊があるかも知れないわね。私は私の信じる道の為に、助けるのよ。これで良いでしょう」

「別に悪いなんて言ってないけど。まあ、良いんじゃない。その方がこっちも気が楽だし」


 取り合えずはここも進まなきゃな。いつまでもだべってる訳には行かない。


「んじゃ、さっさと出れる所まで行くか」


 そんな僕の言葉に、反応してくれたのはクリエだけ。大きな声で「おおーー!」と言ったけど、後の二人はなんか無言。

 なんか気まずく成った感じで、出口を目指す事に。



 僕たちは鍾乳洞を進む。ここもやっぱり前の所と違いはあんまりない。鍾乳石が自身の明るさで周りを引き立てて存在してる。

 変わってる事と言えば、こっちの鍾乳洞は、あの緑に見える水がそこかしこに流れてるって事だな。白い床の溝に

、随分浅く無数に枝を張って流れてる。

 道はわからないけど、とにかく僕たちは進んだ。この鍾乳洞の出口が、山の反対側にあることを祈ってさ。そんな時だ。

 次第に、この鍾乳洞の中まで僅かに揺れだして来てた。そろそろこの箱庭事態がヤバく成ってきたのかも知れない。


「元老院の奴ら……クリエは無事に移すとかほざいてたけど、あれってどういう事何だろう? クリエは僕たちと一緒に居る。奴らの手には落ちてない。

 それなのにこのまま箱庭ごと壊す気なのか?」


 そんな事したら本末転倒だろ。それってどう考えてもおかしいよな。するとミセス・アンダーソンがちょっと不思議な事を言った。


「私たちはまだ、クリューエル様を手にしてないわよ。確かにクリューエル様はここ居るけど……ここに居るこの子が本当の意味で重要な訳じゃない」

「なんだそれ? ちょっと訳わからないぞ。だってクリエはクリエだろ?」


 するとクリエも怒った様子を両手で表しながら「クリエは勿論クリエだよ!」とか言う。ここに居るクリエは、本当の意味で重要じゃないって……一体。


「箱庭」

「え?」


 ポツリと、シスターがそんな事を呟いた。話しかけたって言うよりも独り言に近い感じだけど、彼女は何かを言おうとしてる。


「ここは造られた箱の庭」


 言い直しても短い。それだけじゃやっぱり何がなんだかわからない。


「造られたって、元老院が造ったとかだろ?」

「きっとここから出て外を見れば、彼女の言葉を理解出来ると思うわよ。多分もう、そこまで進んでる。まあだけど、確かにクリューエル様がまだここに居るって事は、最後の詰めの作業は出来ない筈だけどね」


 アンダーソンもシスターも随分と意地悪だな。色々と勿体付けすぎだ。何なんだそれ? 最後の詰めの部分って?


「取り合えず、このままクリエを守って出口から脱出出来れば良いんだろ?」

「実を言うと、私達がどんなに頑張ってもそれは十分じゃないのよ。ここに居る私達だけじゃ、どうにも出来ない事がある。

 でもクリューエル様がここにまだ居てくれるって事は、もしかしたら一緒に来たはずのアンタの仲間が頑張ってくれてるのかも知れないわ」


 ええ~? 全く持って理解不能だ。今まではどうにか頑張って自分である程度の予想とか付けてたけど、今回はもうアンダーソンが意地悪なせいで良く理解できない。

 なんでそう言う言い方するかな~って感じだ。どうしてここでテッケンさん達が関わってくるのか全然理解不能だ。だってみんなはここに居なくて……でも何かやれる事はあって……クリエのそばに居る僕たちの頑張りは結局何? 無駄なわけ?


「無駄なんかじゃないわ。私達が生きる事は勿論。クリューエル様を無事に箱庭に出すこと事態が大切なのよ。無事にって所が重要よ。

 元老院は強引な手段を使おうとしてる。それは手順に沿ってないやり方……そんな事をしたら、ここに居るクリューエル様がどうなるかはわからない。

 だからこそ、私達は送り届けなくちゃ行けないのよ」

「送りとど――うおっとっと!?」


 会話の途中で大きな揺れが来た。鍾乳洞事態が大きく揺れてる。そしてそんな揺れのせいで、天井から伸びてる鍾乳石が落ちてくる。


「危ないクリエ!」


 僕はとっさにクリエに飛びついてそれを回避。地面に当たった瞬間、鍾乳石は大きな音を立てて弾け飛んだ。なんとか守れたと思ったけど、まだ揺れは微妙に続いてる。そしてついには後ろから狼共の姿まで。

 奴らは早速見つけた獲物目指して駆けてくる。だけどその時、もう一度大きな揺れが起きた。しかも今回は断続的に続く揺れだ。

 そんな揺れで僕はゾッとした。だってこれじゃ、天井の鍾乳石は……僕は上を見るなり叫ぶ。


「全員取り合えず走れ! でないと串刺しだ!!」


 僕はクリエを抱えて、揺れの中強引に走り出す。そしてそんな僕に続いて二人も何とか足を動かした。周りには次々と天井の鍾乳石が降り注ぐ。

 後方を向くと、そんな鍾乳石に狼が潰されて悲鳴を上げてた。こっちも油断は出来ないけど、これはこれで……とか思ってると、シスターの声が後ろから届いた。


「そっちはダメ!!」


 その瞬間、僕の頭にはゴッという音と衝撃が響き渡る。

 第二百二十七話です。

 次で多分、箱庭での話は終わるでしょう。でもそれには、もう一試練があるようです。最後にスオウに起きたこと。きっとそれのせいで、望んだことには成らないのかも。

 突然いなくなったテッケンさん達も何かやってるみたいな感じだけど、それも次回でわかるでしょう。

 てな訳で、次回は月曜日に上げます。ではでは。

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