2266 前に進むためのXの問い編 641
「いくよ」
「本当に大丈夫?」
「そうですよ。王がそんな事……」
そんな風に二人が止めてくる。まあ実際心配してるのはレシアだけだと思う。妖精王のやつは実は月人の方を応援しててもおかしく無いと思う。
だって私は無駄にエネルギーを使ってしまった。ちょっとは仕返しをしたい――と思ってても全然おかしくない。まあ私的にはそれだって私の正当な権利だと思ってるけどね。なにせ私はまんまと妖精王に利用された側である。
そしてそのせいでまともに冒険もできなくなってるのが現状だし……これじゃあ普段からプレイヤーに指名手配されてるスオウを笑ってられないよ。
スオウはあれでなかなかにプレイヤーに恨み買ってるし、テア・レス・テレスの信者たちからも色々と狙われてる。だから大変だなーとか思ってたけど、まさか私がそれ以上になるなんておもってなかった。
だって私って嫌われるって事がほぼなかったし。私はどちらかというと、愛される側だった。この顔と境遇で大体私には同情的に皆がなる。
このLROではそんな身体のことは言わないけど、それでも私はそのままの自分の顔でこのLROの美男美女がいっぱいの世界に馴染めるほどだから、問題なんてなかったんだ。でも今や私はスオウ以上に狙われてる。
スオウはあれで速さが自慢だからどこに現れたって大抵逃げ切れるだけのスピードがあったから余裕があったんだね。実際、プレイヤーに追いかけ回されるって心臓に悪い。更にいうと、色々な国の軍隊とかに追いかけ回されるって……もう泣きたくなるよね。だって完全に犯罪者……いややってることだけ言えば、私ってテロリストというか、ポジション的には『魔王』とかの位置にいるんだよね。
実際、そこまでまだ追いかけ回されてはない。でもそれが起こるのは容易に想像することが出来る。それを思うだけで……地上には降りれないよ。
私はスオウほどに逃げ足が早いわけでもないし……
「いいの、これは確認だし。自分の戦力がどんなものなのか、確かめたいって普通でしょ」
そんなことをいって私は強行する。どうやら月人は私に攻撃しないように設定されてるみたいだが、それを命令で解除して、バトルを開始した。
「はっ! ふっ! せい!!」
相手はデフォルトの月人である。更には月人の効果を確かめてる為に、更に三体の月人を召喚した。まあそいつらはただ棒立ちしてるだけだ。
月人の効果……それはスキルの強制阻害だ。月人と戦ってると、自身のスキルが使えなくなる。そしてそれは一体よりも複数体いるほうが月人の血やらなんやらの影響で強くなる。
なので戦わないけど別に三体用意した。
普通の月人も私よりも大きく、そしてなかなかに頑丈だ。どうやら私の普段の攻撃では月人を倒すのは難しいらしいってのがわかった。