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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2253 前に進むためのXの問い編 628

「何やってるのスオウ?」

「なにやってるんですか?」


 僕の変な声に反応してかアーシアとラオウさんがそんな事を言ってきた。僕はその間もこのローレが残した錫杖を持ち上げようとしてるんたが……全く持ってびくともしない。


「いや、これ……めっちゃ重い」


 僕は端的に現状を教えてあげた。するとアーシアはこんな事をいってくる。


「だってそれ、ローレちゃんが持ってたんだよ?」


 当然の主張である。ローレはかなり小さい。モブリだからそうなんだけど、でもモブリとしては大きいって部分がなんか厄介になってる。まあけど、中学生位の身長でしか無いから、普通に見たら小さい。

 だって普通に生まれたばかりのアーシアの方が実は身長的には勝ってるからね。そんなローレが持ってたのだ。


「そんな重いなんて……」


 ――と思うのは普通の反応。でもそこで下手に口に出したりしないのがラオウさんという人物だ。


「なら私がやってみましょう」


 そんな風にいって、僕のポジションにラオウさんが変わった。いきなり否定されないってのは心の安寧的にいい。普通の人ならアーシアみたいに自身の印象を口に出してしまうだろう。

 別にそれはアーシアが悪いってことじゃない。なにせアーシアは子供なのだ。見た目は僕たちと変わらないように見えるが、アーシアは精神年齢でいうと、五歳くらいである。だから考えるよりも先に口に出るのだ。

 それは仕方ないことだ。僕だってわかってる。だからアーシアを責めたりはしない。ただラオウさんみたいな対応がありがたいよねってことだ。

 でも歳をとった……重ねたからって誰もがラオウさんみたいに思慮深い言動が出来る……とは限らない。そう、ラオウさんの今の言動はとても思慮深いのだ。


 勿論だけど、ラオウさんだってきっと心のなかでは「まさか」とか思ってたはずだ。けど、彼女はこれまでの経験でそんな事を口に出しても僕を傷つけるだけだとわかってた。そしてそんな無意味な嘘、更に言うとここで冗談なんて言わないと、きっと考えてくれたはずだ。

 だからこそ、まずはやってみる。否定も肯定もせずに変わりを申請する……それなら自身で知ることが出来る。そして自分で体験する事が何よりも大切だとラオウさんはわかってる。

 彼女は気合をいれる。錫杖を掴んで、さながらバーベルを持ち上げるかのような真剣な表情を見せて、彼女は力をいれる。



「ぐぎぎぎぎぎぎきぎぎ!?」



 それは口に出してるわけじゃない。彼女の歯だ。ものすごい顎の力で擦り付けられた歯が、そんな音を奏でてる。まあつまりは、ラオウさんの腕力であっても錫杖を持ち上げることは叶わなかった……ということだ。

 いや、まじで何で出来るんだこの錫杖?

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