2238 前に進むためのXの問い編 613
覚悟を決めたような精霊達。さっきまであんなにはしゃいでたと言うのに、今は一体何を言われるのかと戦々恐々としてるのが伝わってくる。というか、普通に声に出してるからね。
「もう終わりだ」
「なんでフェアチェリーゼ様は他者にその身を預けてるんだろう?」
「そんなの私たちにわかる訳ないわよ。だってフェアチェリーゼ様、すっごいんだもの」
「でも凄いのに。フェアチェリーゼ様は使役されてるの? 私だったらそんなの絶対に嫌だな……だってやっぱり自由がいいもの」
「そうだよね。僕だってそう思うよ」
「けどあの人間って言ってみればフェアチェリーゼ様が認めたって事だよ?」
「なるほど。それってすごい?」
「凄いよ!! だってフェアチェリーゼ様が認めたんだもん!」
「だったら大丈夫かな?」
「そうだよ! 大丈夫!」
「でも人間だよ?」
「うーん、そうだよね」
「やっぱり人間なんて……」
「でもフェアチェリーゼ様なら!」
「そっか!!」
「でもでも人間は−−」
妖精達の会話はそんな感じだ。こんな感じでずっと結局ループをしてる。どうやら妖精は頭が弱いらしい。いや、重要な決断とかかができないのかも? いたずら好きと言われてる妖精は、そこにしか頭を使わないとか……あるのかもしれない。それにもしかしたらこう言う所とかが妖精としての特徴だったりするのかも知れない。
「ふふ、それじゃあそうね」
なんかローレの奴やけに雰囲気を作ってる。わざわざ下を向いてて、そこから顔を上げて妖精達を見下すような視線の位置で顔を止める。言うなれば、その角度は顎を上げた状態だ。なるべく妖精達を見下げようと言う魂胆が見える。
そしてそんな風に見下げられた妖精達はもうローレを信用……なんて一切してないだろう。何せそんな顔してないからだ。もしも信頼を勝ち取るのならば、笑顔くらいは作るものだろう。それこそ不安な妖精達の心を少しでも軽くしようとそうするはずだ。
でもローレは真逆のことをやってる。妖精達は全員がローレに注目して、次の言葉を固唾を呑んで待ってた。
「全員の羽、一枚ずつもいで渡しなさい」
その時だけめっちゃいい笑顔だったローレ。僕たちはそんなローレを見て、そこじゃないだろって思った。そして案の定妖精達は阿鼻叫喚だった。