2234 前に進む為のxの問い編 609
「なんだなんだ!?」
「何だよこれ!?」
「森が……森がああああああ!!」
わらわらとなんかそんな声が無数に聞こえて来た。それはこの一般普通妖精以外の妖精たちだ。どうやらクリスタルの森がほぼなくなったかのような状況になってしまったからだろうか? まあそれでも僕なら出てくるよりやり過ごした方が良いのでは? とか思っちゃうが、僕たちじゃなく、妖精王がいたらどうしたんだこいつら? 僕たちだからよかったけど……いや――
「あら、妖精がいっぱいじゃん」
ペロッと舌なめずりしたローレ。こいつにとっては妖精なんてのは自身の目的の為に必要な所謂道具……みたいなものだろう。実際そこまで冷酷でもないが、とりあえずこいつは自身の為なら他人を道具のように使う事には結構躊躇いがない。
一人よりも沢山の妖精を試せるほうが、実際ローレの場合はいいしね。まあそれをやってみるのは僕なんだが……妖精の固有のコード……まあこの場合は識別ナンバーか。それを勝手に使うことは出来ないからね。
了承というなの許可が必要だ。それをどうやって伝えるか……そもそもが彼らが僕たちに友好的になってくれるか問題だ。だって……この惨状だよ? クリスタルの森、なくなったぞ。そういえば……と僕は思った。
(森がなくなったってことは、ここにいた生き物とか、モンスターとか一気に倒してるわけだよな? 経験値とかローレに入ったのか?)
まあLROにはレベルという概念はない。けど経験は蓄積されるようになってる。そしてそれによってスキルやら装備やらの熟練度がたまる。それは色々な条件でボーナス値って奴がつく。
これだけの規模で一気にモンスターを倒したとなったら、かなりの経験値が入ったとしてもおかしくない。だって次々にモンスター倒していくとチェーンボーナスっていうのがあるからだ。一気に何体以上倒すとまた別のボーナスがあってもおかしくない。
まあ何もローレには変化はない。あいつはああ見えて、かなりの高レベルというかハイレベルのプレイヤーだからな。あいつの装備してるものとかかなりのレア度だろうし、この程度でも一つ上がるかどうかなのもしれない。
「み、みんなぁぁぁぁぁぁ!?」
そんな声を発して妖精たちの元に僕たちの元にいた一般普通妖精が飛んでいく。その顔は涙顔で結構悲惨なものだった。こっちは助けた側のはずなんだけどね。そんなに離れたかったか?