2233 前に進む為のxの問い編 608
「認めよう。フィアチェリーゼ様が認めた存在。それだけの価値が貴様にはあると。だが忘れるな。月の玉座に最もふさわしい人物はフィアチェリーゼ様だ」
そういった妖精王ミレニアム。そしてそのままローレが放った。大規模な魔法の前に消えていく。けど最後のセリフ的に、死んだわけじゃないだろう。きっと撤退したんだ。やっぱりあれは分身とかか? それともそういう魔法があるのか? わかんないが、なんとなく妖精王ミレニアムとの決着をつける場所は『月』なんだと思った。
僕は空を見つめる。そこにはいつもよりも主張激しめな月が見える。今まではあんまり気にしてなかったんだけどね。なんかでかくなってる気がする。それこそクレーターが見えるくらいに。近づいてきてる? もしかして脅すために月を落とすぞ……とか言ってきそうである。実際月ほどの質量の物体が落ちてきたら、地表の生物とか絶滅しそうだからね。
「逃げたようね。全く逃げるくらいなら私のゲートに協力して逃げなさいよ」
そんなことをいって空から降りてくるローレはなんかとても仰々しい見た目をしてた。いつもの服……装備じゃない。なんかそれこそ精霊達の一部がその身に現れてるような……そんな見た目だ。
確かフィアとも融合とかできるんだよなこいつ? なら、他の精霊とそれをしてる状態がこれ? けどこれって……
「お前、その姿……」
「ん? ああ、これね」
そういってローレはその姿を解いた。そして口元に手を持っていきこういうよ。
「内緒」
――ってね。別にローレだからドキンとかしない。ただやっぱりこいつは計り知れないなって思った。さっきの魔法だってそうだ。僕は周囲を見る。はっきり言ってかなり大変なことになってしまった。焦土……って多分こんな感じなんだろうなって……そんな風に思える光景。
実際クリスタルの森は、森全体がクリスタルだからさ……燃えるってことはない。クリスタルは燃えないだろう。けど、その代わりにほぼ砕けてる。それに熱されて溶かされたりしてる。
もう森の形をたもってない。こんなことができるんだ。それも一人で……実際魔法にはこれだけの可能性かあるとは思ってたけど……これは一人でやっていい規模か?
普通ならきっとこの規模の大魔法ってそれこそ複合魔法とかで数十人の詠唱を合わせてやるような……そんな大魔法クラスの魔法だと思う。それを一人で……やっぱりこいつの魔法はなんか頭一つ……いや二つくらい抜けてる。
「まあ妖精王には逃げられたけど、妖精はまだいるしいっか」
「ひっ!?」
なんか妖精王ににらまれるよりもローレの視線を怖がってるように見える一般普通妖精。まあ実際、妖精の里もこの状態だとどうなったかもわかんないからな。確実に生き延びてるこの妖精を使うしかない――ってのはある。ご愁傷様。