2225 前に進む為のxの問い編 600
「スオウ君!」
「オウラさん」
なんとオウラさんがヤドリカを抱えてこっちにやってきてくれた。まあ大丈夫だろうと思ってたけど、流石はオウラさん。ローレとフィア対妖精王ミレニアムは互いに互いの攻撃をぶつけあって、ぶつかった場所で爆発を起こし続けてる。
ローレとフィアが妖精王ミレニアムの気を引いてる内に、僕は動こうかな? オウラさんが戻ってきてくれたのもタイミングがいい。この一般普通妖精とアーシアを守るためにも離れる訳にはいかなかったわけだけど、オウラさんがいればどうにかなる。それにヤドリカもね。
「二人を頼みます」
「行くのか?」
「行きます!」
卑怯……なんて妖精王も言うまい。なにせ、これは戦いだ。それに……だ。それにここでミレニアムを倒すことができたら、もしかしたら今の事態が収まる……かもしれない。
(もしかしたら、もっと混沌な感じになる可能性もあるけど……)
なにせ今の月の侵攻の全てを把握してるのは多分妖精王ミレニアムしかいない。だから妖精王がいなくなったら、全てが止まるのか……それとも、一気に暴走するのか……それがわかんない。
本当なら今月の玉座に座ってるのはセツリなんだからあいつがもっと色々と把握してれば、妖精王なんていらない――と出来るのかもしれないが……残念だけど、あいつは妖精王の目的も何もしらないからね。
いや、一応妖精王の目的はわかってるか。なにせ最初の侵攻の時に明言してた。それは月の復活。月の王権の復権だ。その為に、この地上を月の支配下に落とそうとしてる。
まあけど、それが本当の目的なのかは不明だ。なにせ……だ。だってそこでトップにいるのは妖精王ではない。今もそうだが、実際月の玉座に今座ってるのはセツリだ。そし今や、その場所をフィアチェリーゼにしようともしてる。つまりは妖精王であるミレニアムはその玉座に座る気がない。
これっておかしい。だって誰だって権力は好きだろう。絶対にそう……とは言えないが、野心があるような奴はそうだと思う。そして野心がないと競争に勝って王になったりしないだろう。なのに玉座には興味ない? 矛盾である。
まあ今はいくら考えてもわかんないだろう。今はローレ達の戦いは硬直してる。だからそこに僕が風穴をあける!! 僕は少なくなった電気を札で補充して妖精王をみつめる。そして――バリッ――と一瞬鳴った音、次の瞬間には僕は妖精王に迫ってた。