2221 前に進む為のxの問い編 596
完全な受け身で僕は月人からの猛攻をしのいでるわけだが……これでは救援にはいけない。僕は一般普通妖精とアーシアを守るので精一杯。
プリズムの煙の中には今もオウラさんやローレとかフィアがいる。それにヤドリカ。まあヤドリカは僕のテイムモンスターだから、ウインドウ越しに戻ってこいっていう命令を出しておいた。
なんとか隙を見つけたらこっちに来るだろう。残りの三人は、実際強者といっていいし、僕がなんとかやれてるのなら、きっと大丈夫……と思ってる。でも……
「問題は月人じゃなく、妖精王だよな」
月人の特性はたしかに厄介だ。数がいればそれだけ封じ込められる力も大きくなるし……その状態で沢山の敵を相手にするってのは普通なら物量でその内押し切られるのが普通だと思う。
でもそこら辺を何とか出来るほどの経験はあるやつらだ。オウラムさんは言わずもがな、ローレの奴は後衛だけど、あんな奴でもきっと大丈夫……と思えるくらいの信頼はしてる。フィアは精霊だし、何とでも出来るだろう。
だから僕は目の前に迫ってくる脅威だけに目を向けて排除しまくってる。既に何回斬ったのか……そんなくらいだ。次から次へとあふれるようにやってくる。
「スオウあれ!」
そんな焦ったようなアーシアの声。僕の後である一点を指さしてる。何やらそこがキランと光ったような……そんな気がした瞬間、その光が一気に膨らむ。ゴゴゴゴゴゴゴ――と膨張する光は周囲を飲み込んで膨らみ続けてる。
だだの光という事なら別にいい。けど……どうやらそうじゃない。あの光に巻き込まれてる月人が消滅して逝ってるからだ。
「これは――つっ!」
僕はとりあえずそんなの関係ねえ!! って感じで襲ってきてた月人を攻撃してきた拳ごと切り捨ててやった。そして今までかたくなに動かなかった足を動かした。
ある意味でいい経験になった。なにせ僕は基本、常に足を動かす戦い方だったからだ。止まったら終わり……そんな戦い方だった。けど、今回やったのはその真逆。スピードという概念を僕は改めたかもしれない。
十分いい経験をつめたし、このままだと僕たちの所まできそうだった。だから動く。ただ逃げるだけなら、一般普通妖精とアーシアを抱えるだけでよかったけど、流石にこれは……ね。見捨てられない奴らを回収することにした。
まずはヤドリカ。そしてヤドリカを背中にくっつけてオウラさんのところに行った。はっりきり言ってもうこれだけで重量オーバーというか、一応ここではまだいいが……アーシアもいれれるとこまる。
けど考えるよりもまずはアーシアたちが待ってる場所に戻る。やっぱりだけど、一瞬だけど速いからこそ、バランスの悪さってのを感じる。
光はすぐそこまで迫ってる。どっちの攻撃なのかわかんないが、これが妖精王の攻撃なら、当然だけどダメージをくらう訳で……まあけどそれならなんで月人まで消滅してるのってことになる。ならこれはローレ? それかフィアか? けど僕の感覚的に「逃げろ」っていってる。やっぱりとりあえず逃げるのが一番だろう。
「アーシア」
僕はそういってアーシアに手を伸ばした。