2211 前に進むためのXの問い編 586
「ですが、あれには月を受け止めるだけの許容はない」
「でもそれって……妖精では無いからでは?」
「まあそうですね。人の身で月に関心を持ったのは見込みはありました。人の中では月を受け入れてる方でもありましたし。それに玉座に座れたのも……そう思うと可能性はまだあるのかもしれませんね」
妖精王はどうやらセツリの株を上げたようだ。
「どういう事ですか?」
「確か、セツリが好んで使ってた月のスキルってそんなに人気がなかったから……でもそれでもセツリはきっと月関連のスキルはプレイヤーの中では持ってたほう……ってことじゃないか?」
僕はよくわかってないオウラさんにそんな風に説明する。オウラさんはほぼ初心者みたいなものだからね。まあ実際、僕だってそんなに詳しい訳じゃない……でもオウラさんよりは詳しいとは思う。
「けどそれよりも、貴方なら……フィアチェリーぜ様ならきっとすぐにでも全ての月の封印を溶けるはずです。そうでしょう? 貴方は知ってたはずだ」
そうなのか? フィアは月と妖精の関係を知ってた。まあありえなくはない……か。それこそ一体いつくらいまでフィアが妖精だっだのかは知らないが……もしかしたらその時はフィアが今のこのミレニアムみたいに妖精王という立場だったのかもしれない。
だからこそ、知ってるとか……なんかやけに信頼がある二人。フィアと妖精王である。ミレニアムはどう考えても初対面のはず。けど妖精王からフィアへの信頼感、好感度はすでにマックス120%だ。
そんな妖精王は今の態度だと妖精王って立場さえもなんかフィアに返納しそうな……そんな勢いさえある。こういうコトをやりそうなやつって立場とか、地位とかさ……そんなのに執着するイメージがあるが……どうやら今の妖精王であるミレニアムはそんなことはないらしい。
「うーんそうですね。でも今の私は種族的にはもう妖精ではないから、もしかしたらその月の力を受け入れる……というのは無理かもしれません」
「そんな……」
そんな風に結構がっかりしてる妖精王。でもいつまでもこうやって会話をしてるのをローレがとめないのもおかしな話だ。なにか狙いがある?
「そうだ。ちょっと私に月の力が操れるか、試してみませんか?」
なんかそんな事をフィアが言い出した。