2208 前に進むためのXの問い編 583
「流石ですね。我ら妖精から精霊へと至ったと言われる伝説。我らの神……フィアチェリーぜ様」
そう言ってきたのその男。我らと言って妖精とか続いてるから、やっぱりだけど……こいつ……この男が……妖精王。彼は透明感ある壮年のイケメンって感じだった。サラサラの銀髪は腰まで伸びてて、僕よりも伸びてるその体躯は妖精なのに、筋肉質だ。
かなりいい体をしてる。なんでそれがわかるかって言うと、妖精王も妖精だからそんなにゴテゴテとした服は着てないからだ。それこそ白い布を巻いただけ……みたいな。けどそれで絵になってるのがズルい。
腕には蔦のようなブレスレットがはまってて、更には妖精王の頭上の後方にはなんか小さな月? みたいなのがあった。
「私のこと知ってるの?」
「もちろんです。誰もがしってるでしょう。なにせ良く幼いときは読み聞かされますから。それに皆が貴方の存在を感じてます。なにせ、我ら妖精が今なおこの世界に生きてるのは貴方様の慈悲のおかげ」
そういって片手を腰の前にもう片手を後ろ手に回して、まさに紳士的……と言う他ない感じの完璧なお辞儀を見せてくれる妖精王。どうやらフィアに本当に感謝というか、尊敬というか、そんなのがあるみたいだ。まあ確かに一般普通妖精もフィアに対してやたらテンションが高くなってたし、本当にフィアは妖精にとってはそれこそ英雄的な立ち位置なのかもね。
「それは大げさだけどね。私はそんなにお人好しじゃないし」
「そういうことにしておきましょう」
なんかイケメンが柔らかく笑うと色気がやばい。僕は男だから見惚れるなんてしないが、もしも異性ならメロメロになってしまうかもしれない。そんな風に思うほどに妖精王は幻想的な容姿をしてる。実際、なんかローレの奴がほうけてる。こいつがこんな反応をするなんて珍しいと思う。
「ローレちゃん、当てられてますよ」
「そ、そんなんじゃないわよ」
フィアに指摘されて正気に戻るローレ。けど自覚もあるのか、ちょっと顔が赤い。ちなみに言うと、オウラさんやアーシアは別になんともなかった。オウラさんは自身の感情を表に出す……なんてヘマはしないからね。実際どう思ってるのかはわかんない。
もしかしたら見惚れてた可能性もあるが、今ここは戦場で妖精王は敵にあたる。なら、オウラさんが隙を作る訳はないから、そこら辺完璧に制御してるだろう。
アーシアはそもそもが幼いからね。別に「綺麗だなー」ってつぶやくくらいであった。異性とかきっと意識なんてしてない。
「私のこと尊敬してるのなら、色々と教えてほしいんですけど?」
「そうですね。私も話したいことはたくさんあります。ですか……お互い忙しい身でしょう? それに……今の貴方は人などに使われている。我らに自由を教えてくれた貴方が……」
そんな事をいって妖精王少し斜め下に顔を傾けて哀しそうな顔をする。いやいや、そういう顔ひとつとってもイケメンすぎるんだが? なんかムカついてきた。