2207 前に進むためのXの問い編 582
「はあああああああああああああああ!!」
そう言って前に出るのはオウラさんだ。オウラさんが前に出て迫ってくる上位の月人を投げ飛ばしていく。いつもの力強さというよりもなんかその動きはとても滑られだ。いつもはそれこそ鋼……と呼べるほどの動きをするオウラさんだが、今はまるで川の流れ……いや風に揺れる柳のような……つまりは剛ではなく柔で対応してるって感じ。
流石はリアル最高の武力をその身に宿してるだけある人だ。人間だから体力的に一騎当千なんて無理なはずだけど、オウラさんは実際そのくらいの警戒されてると思う。
だってだ。だってオウラさんはまだLROを始めてまもない。それにそこまで時間をかけてるかというと……実際結構はいってくれてはいる。でもそれはLROを楽しむため……じゃないんだよね。
オウラさんがLROをやってるメインの目的は孤児院である。孤児院にいる子どもたちの為に入ってる。だから冒険は二の次で大体子どもたちの面倒を見るために入ってるに過ぎない。
そうなるともちろんだけど、戦闘系のスキルって熟練度が貯まることはない。もっと生活に根付くようなスキルは伸びるだろうが……戦闘系のスキルはそれほど伸びる事はない。
だからオウラさんは特殊なスキルを持ってるかというと、もってはないだろう。多分ほとんど基礎スキルだ。たまたま手に入れたらしいなんかすごい槍を持ってるから、そのスキルはかなり強力らしいが、オウラさんあんまり槍使わないからね。
今も徒手空拳である。でもそれですごく渡り合えてるんだよね。ハッキリ言って、LROはゲームだけあって……そして敵がモンスターなだけあってリアルではありえないほどの動きや威力をしてるわけだ。
確かにプレイヤーも成長していけばどんどんと人を外れていける。僕だってアホみたいなスピードで動けるのはここがLROだからだ。リアルであの動きができるわけ無い。
でも……オウラさんはそこまで成長してるわけもないのに、アホみたいな動きをする敵に的確に対処できてる。素のスペックでゲームの中で活躍できるって……この時点でおかしい。もしも……だ。もしもLROの中のモンスターがリアルに現れたら、大体の人は何も出来ずに殺されるだろう。そんなものだ。人の身体能力なんて。
でもこの人は違う。もしもモンスターがリアルに現れても、オウラさんなら素手でぶっ殺しそう……と思いながら見てた。
シャラン
そんな音が聞こえた。そして同時にローレの詠唱が続く。すると僕たちを包むように半円状の何かが現れる。すると、平衡感覚が戻ってきた。僕もフィアも身体がもとに戻ったと同時に動き出す。
けどそこで何やらフィアがおかしな行動をする。月人たちの居る方ではなくて、なんか月人を避けて全く別のところへと飛び立つ。
そして何も見えなかった場所にぶつかって、そこからなんかイケメンが後ろにズザザーと下がる姿が見えた。顔を腕でクロスして守ってるそいつは身長的に僕たちとかわらない……というか僕よりも大きいかもしれない。けど……妖精にあるような羽を背中に持ってた。
(もしかして……あれが妖精王?)