2203 前に進むためのXの問い編 578
「妖精王が攻めてきたのよね? 里の中には入られてないの? それとも最後の生き残りがあなたなの?」
なんかとても残酷な事をローレの奴はさらっと言ってる。けどまあそれは気になるところだよね。だって今の状況はよくわかんない。だって妖精王は里の場所は勿論だけどわかってるだろう。それに、こんな一般普通妖精が里への道をひらく言葉を知ってるのだ。
妖精王という立場に収まってるミレニアム? だっけ? その妖精だって当然だけどわかってるだろう。だからもしかしたらすでに里は……
(いや、それなら里の道を開くなんてしないだろ……)
里が壊滅してたら、その場所に戻りたいって思うわけない。だって今の状況から考えるに、もしも里の中にまで妖精王が入ってたのだとしたら、それはそれは惨状といっていい事になってるはずだ。
考えるに、妖精の里に妖精たちはきっと逃げ込んだ。そして妖精王とかに入られないために、いろんな仕掛けを閉じて、妖精たちはきっと里へと引きこもってるんだろう。
「私達はなんとか無事だったの。あいつが月人を連れてきて、いきなり襲ってきたから何人かは羽をむしり取られた。そして……そして……あいつ!」
そういったかとおもったら、一般普通妖精の彼女は「うぷ――げえええ」となんと吐き出した。まさか妖精が吐くとは……イメージが壊れるが……まあ食べたりしてるなら、吐くこともするよね。実際妖精が何を食ってるか知らないが……でもなんか妖精のゲロは虹色だったと報告しておく。
「はぁはぁ……あいつ……羽をむしった仲間を……月人に……」
そう言って目に涙を貯める一般普通妖精。全部はいわなかった。けど……その文末は言わなくても想像できた。つまりは……そういうことだよね。妖精は羽が命で……力の源で……そして魂そのものらしい。なら……だ。なら、羽をむしられた妖精がどうなるのか……なんて言わずもがなだ。
妖精の死体がそのまま残るのかどうかなんてのはわかんないが、つまりはそうなってる妖精を放置なんてして供養もさせずに……妖精王はその死体さえ……冒涜した。そういうことだろう。
「それで皆にげた。里に……それであいつが入ってこれないようにしたわ。でももうダメ……だってこの森の全てを奴は握ってる。私達は追い詰められてる。ミレニアムの奴は言ったの。
『その羽根を一人ずつで良いから差し出せ。さすれば可能な限り生かしてやろう』
――って。私達は今、誰を生贄にするのかで揉めに揉めてるのよ」
「じゃあ里に帰らないほうが良いんじゃない?」
「うんうん、わたしたちと一緒にいようよ妖精さん!」
ローレとアーシアがそんなコトをいう。でも実際そうだよな……って僕も思う。けど……
「なんであんたたちと一緒に居ないといけないの! 外に居たら月人に殺されちゃう!!」
「月人ならもう全部倒したわよ」
「嘘つき! あんな大量の月人倒せるわけ無いでしょ!!」
うーん、言葉だけでは流石に信憑性が薄いらしい。