2200 前に進む為のxの問い編 575
「あいつ……そう『ミレニアム』様……ううんミレニアムの奴……あいつのせいなの! あいつが悪いんだよ!!」
「ミレニアムって今の妖精王ってことであってる?」
「そう……そうです」
一般普通妖精である彼女は今の妖精王の名前を教えてくれた。その名も『ミレニアム』らしい。大層な名前をしてる。そいつが月人を連れて妖精の里へと乗り込んできた……と。
「それで、そのミレニアムって奴は何をしに来たのよ? 一応妖精の仲間……でしょ?」
なんか(笑)とか見えなそうなそんな言い方をするローレの奴。妖精の里に妖精王が返ってくるってまあいうなれば普通だからな。そこにそこまで違和感なんてない。
問題があるとすれば、妖精王が連れて来た月人……だよな。あれって本当に妖精王の命令とか聞いてるんだろうか? 実際、月人ってそこらのモンスターよりもモンスターっぽいのだ。
もしかしたら今は知性とか押さえつけれてるけど、本当はもっと人類並みに理性的だったり……するのか?
(うーん)
僕はそんな月人をちょっと想像してみる。町中にはたくさんの月人。そいつらは僕たちと同じように服を着てる。そして楽しそうにしゃべったりして往来を歩く姿……それが普通か? 受け入れられるか? と言われたら……
(いや無理じゃね)
――と思った。だって……ね。いくら月人が服を着てたりしても、それで理性が見えるかといえば……みえない。きっと目とか見えないのがモンスターぽく見せてると思わないか? 実際僕たちが生きてる宇宙のどこかには、この月人と同じような見た目の知的生命体だっているかもしれないが、それを受け入れるのは難しいよね。なにせLROの既存の種族はそれこそちょっと僕たちとは違うが、体があって手足があって、そして顔のつくり……とかは大体一緒なのだ。だからそれに自分がなったとしても受け入れられてる。
もしも種族として月人を選ぶことができたらどうだろうか? うーんない。選ばないって思う。そう思うと、月人を月人たらしめることって何なんだろう?
「ミレニアムは私たちを裏切ったの! あいつ!!」
「興奮しないで、ちゃんと説明しなさい」
「ごめっ……わかりました」
なんかさっきから妖精がやりにくそうにしてるのはきっとローレにどう接していいのか定まってないからだろう。召喚されたら普通は術者へと服従してるような状態なのかと思ってたけど、なんかそこらへん当人との本契約とかではないだろうから、もしかしたら甘いのかもしれない。
だから普通にいつもの口調……それこそ妖精がナチュラルに他者を見下してるのが出てるからね。あの一般普通妖精。それに気づいていちいち訂正してるから、なんか話の進みが悪い。
「私たちはね……妖精王に騙された! 私たちは悪くないの!!」
なんか妖精王一人だけに罪を擦り付けに来たよこの妖精。