2196 前に進むためのXの問い編 571
「やります! やりますからやめてください! たべないでえええええええ!?」
そんな風に妖精が命乞いをしてる。ノリノリなのかヤドリカもハサミをチャキンチャキンとしてるのが効いたのだろうか? するととりあえずローレは妖精を開放する。
「はっ! べーっだ!!」
そう言って妖精はここぞとばかりに飛んでいこうとする。いつものふわふわと飛んでる飛び方ではない。まるでハエとかのように空中でも素早くクイックターンを決めるような動きである。
けど……
「うぎっ!?」
そんな事を言って妖精は止まった。そしてそんな妖精に向かって「○○○○○」と唱えるローレ。すると離れてた妖精がローレの側に戻ってきた。物理的に……というよりも、再びそこに召喚したように……だ。
「はえ?」
「なに、しようとしたのかな?」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
わけがわかんない妖精はめっちゃ頭を下げまくってる。さっき一瞬見せた生意気な顔はどこへやら。どう有っても逃げられない……そう悟ったのかもしれない。
「なんでなんでなんで――」
「逃げられる訳無いじゃない。今、あんたは私の使い魔なのよ?」
「契約なんてしてないよ!」
「私は妖精種と契約してるもの。前の妖精王とね」
「そんなぁぁぁぁ! 私達は売られてたのおおおおおおおお!?」
そんな慟哭を妖精は叫んでた。どうやらローレが妖精を召喚できるのは、以前の妖精王のおかげらしい。妖精王と契約したとかじゃなく、妖精種を召喚できる契約をしてたと。実際ローレは召喚自体はそこらのモンスターとかでも出来るとか言ってたけど、それには事前準備が必要だとも言ってた。
それを今回はやってはない。それはもう契約を済ませてたから。それをどうやったのかってのはつまりは以前の妖精王との友誼だったのかもしれない。だから……今言った妖精の「売られてた」って案外間違いじゃないよね。なにせ妖精種はローレに売られてた……と見ることが出来るんだから。
「わかったでしょ? 面倒な事考えないでさっさと道を開きなさい」
「……はい」
ようやく妖精は素直になってくれた。なんか可哀想だけど……