2188 前に進むためのXの問い編 562
「アーシア嬢の事は確かに気になる……が、ここに来たのはそれが目的ですか?」
「「……」」
「見失ってはいけません。私達の目的を」
そういったのはオウラさんである。僕たちの目的……それは……それはなんだっけ?
「確かにペルチェルラなんてムカつくやつのかわりの妖精……それを作ればあいつに頭下げなくて済むのは大切ね」
そういうことだった……だろうか? まあけどそんな感じの目的だったのは思い出した。なにせ月人……そしてアーシアのインパクトが強すぎた。なんでこんなところにって月人は思ったし、アーシアに関してはもう訳わかんない。
でもよく考えたらここには妖精の里があるらしい。つまりは月の城と一番関係ある場所がここということだろう。それならここに沢山の月人が居るのは必然か……
「行くわよ。それと、流石にそれは目立つからアーシアは元に戻る」
「はぁーい」
素直なアーシアはローレの言葉に従って羽を消した。それによって一気に周囲が暗くなったような……そんな気がする。いや、実際まだまだ昼間だし、それにクリスタルの森はいつだってキラキラして風光明媚な場所である。けど、光源があると周囲の木々とかにアーシアが発してた光が反射してたりしてたから、より明るかったのだ。それにその光は七色だったからね。
つまりはめっちゃ派手、そういうことである。
僕たちは森の中に入って歩いてる。なんか森の中はかなり静かだ……
「ここって普段からこんな……なのか?」
僕は実はクリスタルの森は始めてである。だからそう聞いてみた。だって……ね。だってもっと森って色々と音がするものだ。そもそもがこの森は全てがクリスタルになってるからそこらへん違うと思うが、それでも普通にモンスターとかはいるとかきいた。
そういう奴らは常に獲物を狙ってるわけで、奴らが草とかをかき分ける音とか、それかその体に当たる音とかさ……聞こえておかしくないだろう。それか縄張り争いとかさ……
色々と変化が起きたはずだし。
「前はこんなんじゃなかったと思うけど……もっとにぎやかというか、煩かったし」
「そうでしたか? この森はもとから静かな方だと思いますが……」
「うーん、この森、内緒って言ってるよ」
それぞれローレ、オウラさん、そしてアーシアの言葉である。こんなに三者三様の返しが来るっておかしくない。皆が皆、この森に対する反応違い過ぎじゃない? おかしいだろう。いや、アーシアのはなんかおかしいから除外できるが、ローレとオウラさんがここまで正反対って。でもその理由はどうやらローレ自身が解決した。
「オウラ……さん? でしたっけ? 貴方、妖精とあったことあります?」
「それは無いですね」
「そうですか。なら仕方ないですね。この森の真の姿を知らなくても。あぁ、気にしないでください。大抵のプレイヤーの印象はそうなんだと思いますよ」
そう言ってニッコリと笑顔を作るローレ。こいつの言葉にはいつだってどこかマウントを感じるんだが……それは僕がうがった感情をもってるからだろうか?