2186 前に進むためのXの問い編 560
「あっ! みてみてスオウ!! えへへへー」
そんな感じに柔らかい笑顔をみせてくるアーシア。アーシアはただ背中にフィアと同じような羽が生えたことを自慢してるだけみたいに見える。自分も出来るんだよって……それで「すごいね」ってただ褒められたい子供なのだ。
けど僕たちはあんぐりだよ。だって今のフィアの力を見るに……あれってかなり特別だろう。そもそもが……だ。そもそもが、アーシアには羽なんてなかった。実際アーシアって存在としてよくわかってないから、もしかしたら……そうもしかしたらフィアとの繋がりがあったりとか……もしかしたら、あるかもしれない。
うん、もしかしたら……ね。
「フィア……」
「は、はいです」
ローレに呼ばれて、フィアがぱっと出てきた。どうやらフィアってローレの周囲には瞬間移動が出来るらしい。いや、もしかしたらローレの周囲だけではないかもしれないが……そこで僕は思った。なにせ今のもなんかアーシアはキラキラした目でみてた。
フィアを呼び出して何やらヒソヒソと話してるローレ。二人はチラチラとアーシアを見てるから、何かを確認してる感じだ。そこで僕はちょっと思ったことをやってみることにした。
「アーシア、ちょっと」
「うん!! 出来た!!」
一瞬でアーシアが僕の側にいた。そして嬉しさからなのか、僕に抱きついてムギューってしてくる。いい匂いがするし、頭を押し付けてくるアーシアの髪がくすぐったい。
けど僕はそれを堪能してる場合ではない。だってかなり驚いてるから。だってもしかして……と思ってさっきのローレのマネをしてアーシアをよんでみたんだ。言っとくけど、アーシアは超高速で移動した……とかではない。僕の目はどんなに高速で移動したとしてもその動きを見逃すはずはないからね。
けど今のは見えなかった。つまりは、アーシアはそれこそ空間とかを無視して移動したと言うことだ。さっきのフィアと同じ様に。それが一目で出来てしまった。僕も驚いてるが、ローレとフィアなんてもっと驚いてるよ。それに……
「あにゃにゃ……」
……なんかそんな声を発してフラフラ落ちかけるフィア。それをローレが手を添えて支えてた。そしてフィアを支えて抱え込み、ローレはこっちにやってきた。
「ちょっと教えて。えっと、アーシアとか言ったわよね?」
「うん!」
「なんでこの子と同じこと出来るの?」
「すごいって思ったから! 私もって思ったの!」
思わず頭を抱えるローレ。まあ仕方ない。だってアーシアは見た目は僕と同じくらいだが、まだまだ幼女なんだよ。