2185 前に進むためのXの問い編 559
「すごーい!! すごい!!」
そんなことを言ってフィアへと惜しみない称賛を送ってるのはアーシアだ。何回も何回も凄いといわれて、ちょっとやめてよ――ってなるかと思いきや、フィアは――
「当然だよ。私、強いからね。尊敬していいよ」
「うん!! 尊敬する!! ねっ、ヤドリカ!」
シャキンシャキン――とアーシアの言葉に答えてるヤドリカ。ヤドリカは結構ボロボロだ。なにせヤドリカはその身で月人の攻撃を引き受けてたんだからな。ボロボロなのはそれこそ勲章みたいなものかもしれない。
いくらヤドリカが防御寄りのステータスしてるとしても、いろいろと無効化してしまう月人と戦うのは厳しいのかもしれない。実際、倒されてないだけでよくやった……といえるだけの功績だろう。フィアやローレとかアホみたいに強いわけだが、素直にアーシアが「凄い」といえるのは普通にすごいことだ。
そしてヤドリカもそれをちゃんと喜んでる感じなのが、強いやつを認めてるという感じがする。まあ、もしかしたら隔絶しすぎてて、比べよう――って気にならないのかもしれないけどね。
実際さっきのフィアは神々しすぎてもう何が何やらだった。僕なんて必死にフラングランを振り回したというのに、フィアは高いところに上がって光ったらすべてが消えていったからね。
「さて、これで邪魔者もいなくなったし、さっさと妖精をおだてに行くわよ」
そういってクリスタルの森へと足を進めるローレ。すると……だ。なんかいきなりカッ!! とめっちゃまぶしくなった。まるでさっきのフィアみたいな……そんな風に感じる光。虹色の光が流れてるのが見える。まさかフィアが? でももう、月人はいない。光る必要なんてないはずだ。
僕とローレはフィアたちがいる方へと向く。すると――
「やったー見て見て! お揃いだよ!」
――そんな風に言ってるのはアーシアだ。そしてその背中にはなんか、フィアと同じような羽がくっついてた。
「は?」
そんな間抜けな声をローレが出すなんて珍しい。けど気持ちはわかる。実際僕も「は?」って感じだ。そしてまねされてるフィアなんて目をあんぐり開けて、さらに口も顎が外れてるんじゃないかってくらい開いてた。
まあ……ドンマイ……と僕は心でフィアに祈ってあげた。