2178 前に進むためのXの問い編 552
「いた!?」
なんか僕の側頭部になにかが当たった感触がした。見えないなにか……それによってなんか頭をこづかれた感じ。
「どうしました?」
「いえ……いて!?」
再びガツンと頭にくる衝撃。僕は優雅にお茶を飲んでるローレに視線を向ける。コイツは何食わぬ顔してる。まるで私は何もしてませんよって感じだ。でも僕にはわかる。だって……コイツ以外に誰が居るか? こんな誰にも見えない攻撃を出来るってコイツくらいだろう。だってここで僕に攻撃をするのなんて、シ○ガミかローレかメリッサくらいである。
(あれ? そう思うと、五人の内、過半数なんだが……)
なんか改めて考えると多いな。僕を攻撃しそうなやつ。まあけど、この中で今の攻撃ができるのが誰か? と考えると、それはローレしかいないと思う。
「なによ?」
なんか僕が訝しむ目で見てたからだろう。ローレが反応した。ここで言うべきか……そう思ってると、なんか向こうが文句行ってきた。
「イチャイチャしてないでさっさとしなさいよ。私、暇じゃないんだけど?」
「お前はペルチェルラさんに感謝したほうがいいぞ」
「なにがよ」
僕の発言の意図がローレはわかってない。まあ分かるはずはないけどね。だってローレはコードが見えないし。そんな事を思ってると、くいくいとなんか髪の毛を引っ張られた。そこは服の裾……とかじゃないんだ。勿論それはペルチェルラさんである。
「あの、今のは一体?」
コチョコチョと僕の耳元でそんなふうに囁く彼女。耳がくすぐったい。けど不快感はまったくない。寧ろ心地よいと言って良い。なんか彼女も気になるみたいだ。僕が『ペルチェルラさんに感謝したほうがいいぞ』って言ったことだろう。
もしかしたら役に立てるから? いや、ローレよりも彼女が役に立てるから?
「えっと、もしかしたらペルチェルラさがいてくれたら僕たちが……というか、ローレが求めてるゲートっていう、その……ローレの拠点といろんな場所を結べる扉みたいなのが出来るかもってことです」
「それに私が必要?」
「そうですね……その可能性が高いです」
「ふふん」
ん? なんか今まで見たこと無い、なんか下品……というか意地悪そうな顔をしてニヤリと口角を上げるペルチェルラさん。そしてふわふわと彼女はローレのところへと飛んでいく。
「ねえ、あんた。ねえねえねえねえ」
「何よ?」
「どうやら、あんたの求めるものに、わたくしが必要らしいわ」
そのペルチェルラさんの言葉に無言でこっちを見るローレ。僕はとりあえず頷くことだけしとく。するとペルチェルラさんはその綺麗な髪をファサッとしてこういった。
「私、あんたの為には一ミリとも協力なんてしたくないって思ってるわ」
それはそれはとてもいい笑顔……というか、笑顔100%という感じだった。その笑顔だけで、本当に心からローレの事嫌いなんだなって思った。