2177 前に進むためのXの問い編 551
「進化ですか?」
僕の唐突な質問に、ちょっと首を傾げて考えてくれるペルチェルラさん。いきなりこんな質問したら「何いってんの?」とか言われてもおかしくないが、ペルチェルラさんは丁寧に対応してくれる。
「そうですね。本当なら、私は進化……と呼べるものをしてたのかもしれません。けど残念ながら、私は妖精から上位の存在になってはないですね」
「妖精から上位っていうと……上位妖精とかあるんですか?」
僕はアホな事を言ったかもしれない。だって上位精霊ってなんかひねりが全くない。いやひねりなんて全く必要ないのかもしれないが……なんか……ね。
「そういうのではないですね。私達妖精は資格を得ることで位が上がるのです」
「資格……ですか?」
なんか勉強が大変そうですねって思った。いや、きっとそんなリアルに考える感じの資格……ではないと思うけど。
「ペルチェルラさんは資格を得るために頑張ってたんですよね?」
今までの話の感じからきっとそうだ。そしてそれはきっと妖精王になるため。いや、彼女の場合は妖精女王か? まあそこらへんに区別があるのかは正直わかんない。
「ええ……ですが……」
歯切り悪くそういってちらっと視線が優雅にお茶してるローレへと向くのが僕には見えた。けどそこは突っ込まない。きっと彼女もそこは突っ込まれたくないだろうしね。
それに下手にまた再燃したら止めるのが大変そうである。実際ペルチェルラさんの強さってやつは全く持って未知数だ。けどローレの強さは知ってる。
はっきりいって一瞬で終わるのなら……そんなに被害が広がる……なんてことはないと思う。それこそ本当にペルチェルラさんがただの一妖精のままなら、ローレの足元にも及ばないと思う。
けどこの人は……というかこの妖精はどう考えても普通ではないはずだ。だってそもそもが妖精王に立候補出来るくらいには妖精の中でも上の方の実力を持ってるはずである。
まあ、妖精の方の上位の実力って奴がどういう感じなのかって言われてもわかんないんだが……
「とりあえず私はただの妖精です。寧ろなりそこねたのですから、今の私は妖精ですら……」
そう言ってペルチェルラさんは唇を噛む。その悔しそうな……哀しそうな表情はグッとくる。これが僕たちと同じサイズ感だったなら、思わず抱き寄せてしまいそうになるほどである。
でもペルチェルラさんは妖精でちっさい。僕は優しく二本の指を使って彼女の頭を撫でた。するとそれにビクッとするペルチェルラさん。しまった……流石に馴れ馴れしすぎたか? てか女性にこんな事をするって普通に失礼かもしれない。
「す、すみません」
「ふふ、いえ……もっとお願いします」
なんかそんなふうに言われたから、僕は再び彼女の頭をナデナデした。