2164 前に進むためのXの問い編 538
「召喚獣って、勝手に作り出せるものなのか?」
一番の疑問はそこというか、だって召喚獣って精霊と呼ばれるなんかこの世界に数体しかいないような特別な存在しかできないんだと思ってた。いや勝手に……だけどさ。でもどうやら、そんなわけじゃないのか? まさか自分自身で召喚獣を作れたりするんだ。
「簡単とは侵害ね。そんな簡単に出来るわけないでしょ。そもそもが私以外にはできないだろうし」
「さっきの魔法陣、かなり特別なものってことか?」
「クスっ」
なんか意味深にほほ笑んだローレ。それだけで何か言葉を紡ぐってことはしないらしい。なんだそれ。多分言いたくないんだろう。実際、されを知られると、召喚獣を増やすことができるようになる……いうことなのかも。
「お前って、誰かの元に下るとかいいのか? なんかもっと誇りとか……そもそもアーシアはどうするんだよ?」
『アーシアは貴様に任せてるが?』
「……まあ、そうだけど」
そうだけど、違うよね。だから誰かの召喚獣になるとかいいのか? この森をアーシアの故郷的に、守っていくのかと思ってたんだけど……
『召喚獣になったとしても、別に私がここから離れるわけではない。私という存在を分け合っただけだ』
「そういえば……召喚獣ってそんなんだな」
だって元々この世界にいる召喚獣として手に入ると有名な精霊たちは、ローレが呼んでる時だって、自身の領域にいるからね。そもそもが精霊自身がプレイヤーとかについてくる――となったら召喚獣って一人しか手に入ることができないってなる。それはさすがにゲーム的につまんないよね。
だから召喚獣であるが、精霊である彼らは、自身の力……というか存在を契約した人に分け与えることで、それを召喚獣ってことにしてるってことなんだろう。
でもさ……
「でも、いきなり今日であったばかりのローレになんで……」
だって自身の存在を分ける――ってなんか大層なことのように思える。自身の力を与えるわけだからね。そんなことをするような奴ではなかったはずだ。それこそアーシアにはそんな事すると思う。なにせアーシア至上主義だからだこいつ。
でもローレって……こいつの性格知ってる? と言いたい。
「まあ私って偉大だからね。わかる奴には私の尊さがわかっちゃうのよね」
「流石ですローレ様」
自信満々のそんなローレの発言。僕は何言ってんだこいつ? とか呆れ気味だけど、メリッサはひざまずいて拍手を送ってる。でも実際、ローレはすごいことをしたのは事実だと思う。