2163 前に進むためのXの問い編 537
「おいバカ、やめろ!」
僕はそんなコトを言ってローレのやつを止めようと思った。けどそこで立ちはだかるやつがいる。そうメリッサである。
「やめてください」
「退けメリッサ。流石にやりすぎだ」
「大丈夫ですよ」
大丈夫? あんな複雑怪奇な魔法陣を出しておいて? あんな規模の魔法陣って普通は個人は出さないぞ。それこそ五分くらいは詠唱しないと出ないであろうくらいの魔法陣が回ってる。キレイだけど……意味わかんない。
僕は祝福を使って、魔法陣の意味……的なものをしることが出来る。けどさ……今ローレが出してる魔法陣ははっきり言って僕には理解ができない。
何を目的としたものなのか……それこそ攻撃なのか防御なのか、縛りなのか、それともデバフとかなのか……一つもわかんない。それなのに大丈夫ってなんだよ。
『人が我を従えようというのか?』
「だって、貴方、精霊に近いでしょ?」
そういってカツンと地面を叩くローレ。すると……だ。召喚じゃないが、どうやらローレが得てる召喚獣……つまりは精霊の影? と呼べるものが、その背後、僕らから見たら前方に出てきた。
『なんと……』
なんかそれを見てシ○ガミが震えだす。そして……びっくりする行動に出る。カツカツと地面とは思えない音を出す歩み。そしてローレに近づいてく。
そして頭を向ける。その大きな角がローレを通り過ぎた。その鼻先に触れる事を許されてるような……そんな感じに顔を差し出してる。
「△○✕◆」
なにやら僕には聞き取れない……そんな言葉をローレはつぶやく。そしてその手がシ○ガミ触れる。するとなんと、シ○ガミが泡の様に消えていく。
「おい!」
「ああ、神々しい」
そう言って僕の反応とは違って、メリッサは泣いてた。号泣である。そして全部シ○ガミが消えたと思ったら、再びその場にいた。けどなんか変わってる。なんか今までは普通に野生的というか、別に何も装飾なんかなかったが、今目の前にいるシ○ガミはなんかブランケット? ではないかもだけど、民族衣装的な布を胴体にかけてて、その角には沢山の輪っかが、それこそローレの持ってる錫杖の様についてる。そして極めつけはなんかその角の周りに飛んでる。透明な羽を持つ淡い光、それが二つとんでるのだ。
「なにした?」
いやほんとに。
「別に、契約しただけ。私と契約したことで、この子は私の召喚獣になったのよ」
それでそんな変化するもんなの? びっくりである。