2147 前に進む為のxの問い編 521
「えーと、僕はスオウ」
「私はアーシアだよ!!」
「はい、スオウにアーシアですね。あなたは……」
そういってペルチェルラが視線を移したのはヤドリカである。あっ、そいつも自己紹介必要? とかおもった。気にしないかな? とか思ったけど、どうやらペルチェルラは気になったらしい。
「えっとそいつは……」
なんと紹介したらいいのだろうか? そんな風に思ってるとなんと――「なるほどあなたはヤドリカっていうのね」――といった。
「ええ!?」
僕はびっくりした。だってもちろんだけどヤドリカはヤドカリ型のモンスターでしゃべったりできることはない。ヤドリカとかいう名前だって、別にこいつが認識してる……のかも謎だったんだ。
一応システム的に名前の所もなんか『ヤドリカ』となってるけどさ。だからか? この名前の欄にちゃんと「ヤドリカ」と書かれてるのはこいつ自身がそれを承認したから……なのかもしれない。
「凄い、ヤドリカのことわかるんだね!」
「簡単な事ですよ」
アーシアの言葉にそういってペルチェルラさんは微笑んだ。ほのぼのとしてるが、そんな場合なのか……空に鎮座してるあれの事をさっさと教えてほしいよね。
「月の封印が解かれ、玉座が収まった。これからきっと大変なことになります」
「大変な事? それにあの男性は?」
「あれは妖精王です」
「妖精王」
どうやらセツリの傍にいるのは妖精王なる人物らしい。一体どういう経緯であんなことに? そんなことを思ってると、何やら地震が起きる。
ゴゴゴゴゴゴゴ――
と激しく揺れだしてる。これもあの空の月に何の関係もない……なんてことはないだろう。
「なんだ!?」
「月が目覚めたのです。なので各地の遺跡が反応してるのでしょう。見てください」
そういうペルチェルラさんの示す先には、何やら灰色の人型の変な奴が地面から這い出てこようとしてる。その顔は縦に細長く、口が裂けてる。目や鼻……髪の毛はない。不気味な姿をしてる。名前はなんか『月人』となってる。あれが月の人間? あんな姿になるのなら、月に移住とかしたくないな……と思った。




